千葉県銚子市のローカル鉄道「銚子電鉄」が、稼働できる電車が1本だけという異常事態に陥っている。3本あった電車のうち1本の検査中に、もう1本が故障して走行不能に。通常ダイヤでの営業は困難となり、同社は24日から2便減らした。竹本勝紀社長は「不安におびえながら運行する『限界鉄道会社』になった」と困り顔だ。

 銚子電鉄によると、運休したのは通学・通勤時間帯の便。新型コロナウイルスの感染対策で減便していたが、高校生の保護者からの要望により、通学時間帯のダイヤを復活させた直後だった。いずれの車両も製造から約60年が経過しており、故障は老朽化が原因とみられる。数年ごとに検査が必要とされ、1本を検査中は2本で運行していた。本来は4本が必要だというが、資金繰りなどの関係で確保が難航していた。今回故障したのは、2014年の脱線事故で壊れた車両だった。当時、地元高校生らがクラウドファンディングを活用して約500万円を寄付。修理が無事完了し、15年から運行を再開していた。竹本社長は「高校生や地域の方々のためにも、一日も早く修繕して、これからも走り続けたい」と話した。