政府が「佐渡島(さど)の金山」(新潟)の世界文化遺産への推薦を2021年度は見送る方向で検討している。歴史問題を理由に韓国が反発しており、23年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会での登録は見込めないと判断した。24年以降の登録を目指す方針。ただ自民党内の保守系議員から「推薦すべきだ」との声が強まっており、今年2月1日のユネスコへの推薦書提出期限までに最終判断する。専門家は政府の方針をどう見るのか。

 国の文化審議会は昨年12月28日、世界遺産にふさわしい価値があると評価し、23年に登録審査を受ける候補として佐渡金山を選定した。ただ、かつて朝鮮半島出身者が過酷な労働に従事したとして、韓国政府は選定の撤回を要求した。

 木原誠二官房副長官は先日の記者会見で、韓国側の反発に関し「韓国内で事実に反する報道が多数なされており、極めて遺憾だ」と述べた。「韓国独自の主張は日本として全く受け入れられない」として昨年12月28日、在韓国日本大使館公使から韓国外務省に申し入れたと明らかにした。
 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏はこう語る。

「韓国に対して配慮はまったく逆効果です。韓国は『日本は金山での朝鮮人強制労働を認めたから推薦を見送った』と解釈し、国際社会にそう喧伝します。軍艦島のケースと同じで、佐渡金山にまつわるトンデモ映画やドラマが作られることでしょう。韓国はこれでまたひとつ反日カードを手にしたことになります」
 昭和のはじめ、朝鮮半島の北部は突然のゴールドラッシュに沸き上がったという。

「多くの“金鉱成り金”が誕生しています。朝鮮日報の社長だった方応謨(パン・ウンモ)氏もその一人ですが、なんといってもその名を全朝鮮に轟かせたのは『金鉱王』『黄金鬼』とも呼ばれた崔昌学(チェ・チャンハク)氏でしょう」と但馬氏。

 崔氏の豪邸は地上2階、地下1階建て。当時で冷暖房付き、地階はビリヤード台がある娯楽室だった。

 但馬氏は「崔氏はまた戦時中、たびたび帝国陸軍に戦闘機や高射砲を献納しています。現在の金額にして100億円ではきかないでしょう。そういうウルトラ成り金のいる一方で、同じ朝鮮人が内地の佐渡で奴隷労働? 考えられないでしょう。ゴールドラッシュにあぶれた人が高給を求めて内地に出稼ぎに来たというだけの話なのです」と指摘している。