学校法人「森友学園」の小学校建設を巡る補助金不正事件で、詐欺罪などに問われた前理事長の籠池泰典(本名・康博)被告(68)と妻の諄子(本名・真美)被告(65)の控訴審の第3回公判が17日、大阪高裁(西田真基裁判長)で開かれた。

 1審の大阪地裁で懲役5年の実刑判決を受けた泰典被告は国の補助金詐欺について無罪を訴え、大阪府・市の補助金詐取は量刑の軽い補助金適正化法違反にとどまると主張。懲役3年、執行猶予5年を言い渡された諄子被告は全面的に無罪を訴えていた。

 籠池夫妻は前回の公判の後、「訴訟での主張内容に違いがある」との理由で弁護団を解任。新たに学園が運営する「塚本幼稚園」の存続問題で弁護人を務める南出喜久治弁護士を選任したが、裁判所からは国選弁護人2人が付けられており、この日の法廷には5人で入廷した。

 南出弁護士は法廷で「私選が付いているのに国選を付けた。意思疎通もできておらず、むしろ妨害」と述べ、裁判長から国選弁護人の弁論を求められても「国選弁護人の弁論を拒絶します」と応じた。

 弁護人同士の〝仲間割れ〟のような状況に、国選弁護人も困惑の表情を浮かべていたが、当の泰典氏は閉廷後に会見を開き、「裁判長の訴訟指揮はいかにも不当。南出先生を選任したにもかかわらず、国選弁護士を付けたのは裁判所の思惑、意図がある。われわれは国選を選任してくれとは一切言っておらず、前代未聞だ。国策捜査から始まり、国策逮捕され、国策公判も結審する。とんでもないことだ」とぶちまけた。

 法曹関係者によると、通常は私選弁護人が選任された段階で国選弁護人は裁判所から解任されるが、選任と解任を繰り返す恐れがあるなど、継続した公判審理が見込めない場合は、保険としてそのまま国選弁護人がいることもあるという。

 弁護団のいざこざを抱えながらも控訴審はこれにて結審。判決は4月18日に言い渡される。