国内で14日、新たに2万2045人の新型コロナウイルス感染者が確認された。2万人を上回るのは昨年9月1日以来、約4か月半ぶり。オミクロン株が急拡大し、今月12日に1万人を超えたばかり。第6波の歯止めがかからない状況で、重症者も急増している。オミクロン株はワクチンを接種した人もかかってしまうとはいえ、軽症で済むといわれている。一方、ワクチン未接種のテニスのジョコビッチが全豪オープンへの出場の可否でもめているように、“打たない権利”が脅かされている。未接種者の現状について取材した。

 新型コロナウイルスの感染が再拡大し、3回目のワクチン接種を求める声が大きくなっている。今、世界中で猛威を振るうオミクロン株に、ワクチン未接種者が感染したらどうなるのか。療養を終えた未接種者に話を聞いた。都内に住む40代半ばの男性(接客業)は、年明け5日に検査し、翌6日に陽性と判明した。

「ウチの店に来るお客がコロナになり、広くない店なので従業員はみんな濃厚接触者に。自主的にPCR検査したら私だけコロナで、他の従業員はみんな陰性でした」

 男性はワクチン未接種だが「自宅療養中は熱も出ず、全然元気だった」という。

「強いて症状を挙げるなら喉の痛みぐらい。電子たばこを吸うので。コロナと分かった時はマジで驚いたけど、体自体が何ともないから、実感は湧かなかった」

 オミクロン株と伝えられたのは、1週間の療養期間が終わる間際だったそう。療養後、自宅に届いた検査キットで調べ、2日連続で陰性だったことから、男性は晴れて仕事復帰した。ちなみに自治体によっては、療養期間終了の段階で無症状なら、検査なしで日常に解放している保健所もある。

 男性の妻もワクチン未接種で「ワクチンは絶対打たない」と決めている。「嫁はPCR検査しないと言ってて、普通に働いてます。『旦那がコロナになった』とも周囲には言ってません」。妻にも症状はなかったそうで「自分が元気な濃厚接触者なら“ま、検査しなくていいや”って思うのも分かる。何か症状が出ないと、検査しようとは思わないのでは」と男性は指摘していた。

 濃厚接触者なのに検査もせずに職場に行くとは、コロナを広めかねない危険な行動だ。一方でワクチンを“打たない権利”があるのも事実だ。

 そんな中、西日本新聞が11日に公式サイトでアップした記事は反響を呼んだ。ワクチン未接種をきっかけに解雇となった男性の話で、ツイッターでは「生きづらい世の中になった」「これはひどい」という同情から、「雇用主側の言い分も分かる」「対人業務なら接種は当然」と賛否両論となっている。

 こんなことがあっていいのか。労働問題に詳しい法律関係者は「おそらくワクチン未接種だけが解雇理由ではないのでしょう。ワクチン未接種だけで解雇はできないはずですから」と指摘した。

 その上で、ワクチン未接種ではなくマスク未着用のケースを挙げた。「過去にマスク未着用などを理由に解雇された労働者がいました。当然、会社側と争うことになり、労働審判の末、解雇不当となった上で金銭解雇で決着しました」(前出の法律関係者)

 労働審判ではマスク未着用については着用の法的根拠がないということで、ほとんど議論にならなかったという。「ワクチン未接種も同じことで、接種が法的に義務付けられているわけではない。接種を迫るのは人権侵害ともいえ、争えば労働者側が有利でしょう」(前同)

 一方で海外ではワクチン接種の圧力は増すばかり。米国ではJPモルガン・チェースのCEOがワクチン未接種の従業員に対して、「職を失う」と厳しい方針を示している。ユナイテッド航空はワクチン接種を義務としており、従わなかった従業員を実際に解雇している。

 日本ではまだそんな状況になっていないが、今後どうなるのか…。