中国政府主導のインターネットコメントアルバイト集団「五毛党(ごもうとう)」の規模が急激に拡大しているという。ネット上で中国共産党寄りの文章を書き込み、世論誘導を促す集団で、ニュースのコメント欄や掲示板などに文章が掲載されると、政府から見返りとして1本当たり5毛(約10円)が支払われる。


 検閲社会の中国において、なくてはならない存在だが、その規模については2010年に一部メディアが約30万人と報じていたが、詳細は不明だった。


 そんななか、その実態を伝えたのは米国自由アジア放送(RFA)。五毛党の数はなんと中国全土で約1000万人に達すると報じた。


 RFAは中国共産党傘下の青年組織「中国共産主義青年団(共青団)」が作成したと思われる極秘書類を入手。そこには各省の五毛党の数が明記されており、それらを足して割り出した。


 2014年時点で中国のインターネットユーザーは6億5000万人と伝えられていることから、単純計算で約65人に1人が五毛党で、全員が文章を1本書くだけで、合計約1億円が政府から支払われている計算だ。


 五毛党のもう1つの重大任務はネット監視だ。政府に否定的なサイトや投稿を見つけ、通告することで報酬が得られるという。中国政府がいかに世論を気にしているかがわかるが、これらは日本にとっても対岸の火事ではない。


 中国に詳しい関係者は「五毛党が1000万人いるということは、中国政府の熱烈シンパが相当数いるということ。尖閣諸島問題で日本との摩擦が深まれば、彼らが先陣を切ってデモを行うなど暴発する危険をはらんでいる」と話す。中国政府にとって、五毛党は使い勝手の良い“暴力装置”にもなりかねない。