海上自衛隊最大の艦艇となる新型護衛艦「いずも」が25日、就役した。既に配備されている「ひゅうが」を大きく上回る最大幅38メートル、全長248メートルのヘリコプター搭載型の護衛艦。戦後70年の節目となる年に自衛隊悲願の“空母”が復活した。

 横須賀基地に配備されたいずもは、陸上自衛隊が導入する新型輸送機オスプレイ5機が同時発着でき、ヘリ9機を運用できる。東シナ海でのさばる中国への抑止効果のほか、大規模災害が発生した際には輸送や病院船としても期待される。フラットな甲板で、見た目は明らかな空母だが、戦後、日本は空母の建造を禁じられている。政府は「攻撃型空母の保有は許されない」との見解を示し、“空母”とは表現せずにあくまで、ヘリ搭載型護衛艦との位置付けだ。

 いずもは今月、フィリピン沖の海底で見つかった戦艦「武蔵」とほぼ同じ大きさ(武蔵は全幅38・9メートル、全長263メートル)だ。軍事評論家の神浦元彰氏は「太平洋戦争中、大和型といわれる『大和』『武蔵』『信濃』の3つの巨大戦艦が造られ、信濃は空母に改造された。ヘリ空母のいずもは、信濃以来の空母になる。大きさもほぼ同じで、海自のこだわりがあったのでしょう。海自は『空母を持ちたい』とは決して言えなかっただけに今回の完成は悲願だった」と指摘する。

「いずも型」といわれる同サイズの護衛艦は、もう1隻が造られる予定だ。「ヘリ空母ではなく、将来的に導入される垂直離着陸可能なF35戦闘機を運用できる仕様になるでしょう。いきなりF35仕様では反発を招くので、ワンクッション置いた形。いずもは海自にとって、全く別の階段を一つ上がった」(神浦氏)

 米で運用されている原子力空母の「ジョージ・ワシントン」(全幅77メートル、全長333メートル)級はいずもと比べて、もう一回り大きい。「本格空母は米本土を攻撃する力になるので米が建造を許さない。日本はF35仕様の“軽空母”止まりでしょう」(神浦氏)。“巨大空母時代”の到来とまではいかないようだ。