大塚家具のお家騒動が激しさを増している。創業者の父・勝久会長(71)と娘の久美子社長(47)が経営方針をめぐり対立。同社の筆頭株主である勝久氏が27日に開かれる株主総会で、久美子氏の社長解任を提案する。

 勝敗の行方は株主の多数決に委ねられる。優勢が伝えられるのは18%を保有する勝久氏。一方の久美子氏は同社の資産管理団体「ききょう企画」が持つ約10%の株式を支配下に置いているが、これに勝久氏が「不正に久美子氏名義に変更された」と反発し、株式の返還訴訟を起こしている。狙いが同団体保有の株式の封じ込めにあることは明らかだ。

 さらに、勝久氏は大塚家具の全16店舗の店長と約8割の幹部が支持を訴えているとアピール。社員が忠誠を誓ったことで「勝久氏有利」の情報も流れているが…。

「いやいや、勝久氏側がしきりにアピールしているのは、焦りの表れですよ」とは某証券マン。メガバンクやコンサルティング会社で働いた経験もある久美子氏は“この日”のために入念に準備してきたという。

「勝敗の鍵を握るのはその他の大株主の動向。なかでも同社株約10%を握る米ファンド『ブランデス・インベストメント・パートナーズ』がどちらにつくかだが、実は久美子氏との間で『すでに話ができている』という情報がある。職人気質の父親に比べ、久美子氏は金融知識が豊富だし、銀行時代のパイプもある。そのツテを通じ、早々と支持を取り付けたようだ」(同)

 先月26日に発表した株主への増配も“秘策”だった。当初の1株当たり40円から80円に引き上げる奮発ぶりで、勝久氏は「赤字なのにその配当は問題だ」と猛批判した。

「この展開を見越して、久美子氏は同社が保有する大量の株や投資信託などを昨年末に売却し、40億円以上を手にしている。それを今回の増配に突っ込む算段。『身を削って株主に応える』という意味です。これは機関投資家や合理主義の外資には最大のアピールになる」と金融関係者は話している。