高層マンション火災の恐ろしさ 専門家が警告“危険度A”

2015年03月04日 10時00分

火災があった西神田の高層マンション

 東京・千代田区西神田の25階建て高層マンションの20階で2日、火災が発生した。2時間半後に火は消し止められたが、消火活動では、はしご車が届かずに四苦八苦する場面があった。高層マンションやビルが乱立するなか、万全とはいえない火災対策が浮き彫りとなった。大地震などで同時多発火災が起きた際に、高層建造物は木造住宅密集エリアと並ぶ“危険度A”の事態に陥ると専門家は警告している。

 火災が起きたのは、JR水道橋駅から300メートルほどの大学や専門学校が立ち並ぶエリアにそびえる25階建て(高さ約95メートル)の区営住宅。午前8時半過ぎに20階の男性宅から出火し、約50平方メートルが燃えた。

 付近の住民は「ボン!という大きな爆発音がした。消防車が来たが、ベランダまで届かないし、ヘリコプターも飛んでいるだけで、外からは対応できていなかった」と振り返る。

 東京消防庁では高所での消火活動が可能なはしご車がスタンバイしているが、はしごが伸びる最大高さは約40メートル。今回のような高層部での火災には対応できない。結局、ベランダ側からの消火はできずに、消防士が部屋の内側から消し止めた。

 元東京消防庁消防官で元大田区議の防災アドバイザー・金子富夫氏は「はしご車は地上から40メートルの高さまで上がり、そこからの放水は20メートルぐらい届くが、水平でないと効果的な消火にはならない。一般的なマンションなら12~13階がはしご車で消火活動ができるリミット」と指摘する。

 海外では100メートルを超える大型のはしご車もあるが、日本の道路事情や予算の関係で、導入されておらず、国内最大は50メートル級にとどまっている。 また、ヘリコプターでの空中消火では真上からの“バケツ方式”で効果は低い。水平に放水できるヘリが開発されてはいるが、ホバリングしながらの消火活動は風の影響を受けるため、導入されても困難が予想されている。

 国内でははしご車の限界を想定し、高さ31メートル以上の建物は建築基準法や消防法が厳しくなり、非常用エレベーターの設置や燃えにくい建材の使用などが義務付けられている。このため高層マンションは「燃えない」「火災に強い」などとうたわれる。しかし、金子氏は「建物そのものは燃えないかもしれないが、部屋の中に燃える家具や物があれば、そこから今回のように燃え移る」と“安全神話”でしかないという。

 怖いのは大地震などで火災が同時に多発した際だ。

「治療の優先順位を決めるトリアージ(緊急度判定)と同じように同時火災が起きれば、消防車や消防士も限界があるために病院や学校などの消火が優先される。高層マンションやビルは被害が拡大すれば、木造密集地帯と同じで、手がつけられなくなる。“放任火災”といって、消火活動が後回しにされる可能性がある」(金子氏)

 そうなれば“危険度A”の事態に。火災で高層マンションやビル内に取り残されないためにも日ごろから避難経路の確認や初期消火などの防災対策が必要なのは、間違いない。