コロナ重症経験でPTSDに! 感染者急減でも安心できない「フラッシュバック」

2021年10月12日 11時14分

街には再び人があふれているが…
街には再び人があふれているが…

 コロナが人々の心をむしばんでいる。国内で11日、新たに369人の新型コロナウイルス感染者が確認された。内訳は東京、神奈川、大阪の各49人など。東京が50人を下回るのは昨年6月以来となった。都内の新規感染者数は今夏のピーク時から大幅に減少しており、入院患者数や自宅療養者数も改善に向かっているが、喜んではいられない。コロナに感染して重症化した人の中には死にかけた体験のフラッシュバックに悩む人がいるといい、「専門のクリニックが欲しい」との声もある。

 急減している理由については専門家も明確な答えが出ていない。ただ、ワクチンを少なくとも1回接種した人は11日までに9300万人を超えた。また、厚生労働省によると、11日時点でのコロナ陽性者数の累計は約171万人。ワクチン接種の広がりと、感染者が増加したことで、免疫を獲得した人が増えたことは、減少の一因だろう。

 逆にコロナ感染で苦しんだ人も多いということだ。コロナの後遺症には味覚や嗅覚の障害、呼吸困難、抜け毛、倦怠感などがある。それら後遺症に対応する後遺症外来もあるが、コロナに感染して重症化した50代男性は「よりメンタルに特化したクリニックがあってほしい」と訴える。

 この男性は自覚症状がないまま入院し、数日後には重症化。10日間も意識不明になっていた。なんとか最悪の事態にはならなかったものの、精神的なダメージは大きかった。

「生きる気力がわかないというか、なぜ自分は生きているのか、これから生きていても意味があるのかなどと考えてしまうようになりました。夜は眠れないから睡眠導入剤を許される量のMAXまで飲んでいます。不安に襲われて過呼吸になることもあります」(前出男性)

 かかりつけの医者に相談するとPTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性を指摘されたという。厚労省のホームページによると「死の危険に直面した後、その体験の記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢に見たりすることが続き、不安や緊張が高まったり、つらさのあまり現実感がなくなったりする状態」と解説されている。

 同男性は「疲れている時や心が弱っている時に記憶がフラッシュバックします。年齢の近い落語家の三遊亭多歌介さんがコロナで亡くなったというニュースでは、『自分もそうなっていたかもしれない』と震えてしまいました」と言う。

 コロナで入院していた病院からはメンタルクリニックへの紹介状を書いてもらったという。病院はコロナ回復後にメンタルケアが必要なことは認識しているわけだ。「ただ、そのクリニックはいつも忙しく落ち着いて話ができません。コロナ専門のメンタルケアをしてくれるクリニックがあればと強く思います」(同)

 ただでさえ、新型コロナによって対面機会が大幅に減少し、行動制限を余儀なくされ、ステイホームが続き、メンタルバランスを欠く事例が多数報告されている。「コロナうつ」「コロナストレス」という言葉も日常的になっている。感染経験者のメンタルはよりズタズタになっているだろう。

 猛威を振るったコロナ第5波は落ち着いたが、冬に第6波が来るかもしれないと恐れられている。メンタルケア対策を進めるなら今がチャンスだ。

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