やめるにやめられない泥棒稼業の心理

2015年02月09日 11時00分

 泥棒稼業はやめられない。大分県警中津署は、窃盗容疑で住居不定の無職の男(69)を逮捕した。2012年10月24日、福岡県築上町の会社員男性(48)宅に忍び込み、現金40万円を盗んだ疑い。


 今月2日午後8時ごろ「休憩させてもらえないか」と同署を訪れた。署員が「家はどこだ? 送ってやれるとこなら送るよ。電車か?」などと話しかけると「家はない。仕事もない」などと話しだした。所持金が数千円しかなかったことから、暮らしぶりを尋ねたところ「生活費は泥棒して稼いでた」と告白したという。同署幹部は「犯行場所や侵入手口など供述に具体性があったので、男に現場まで案内させ、被害届が出されていることを確認。逮捕した」と話す。前科があり、刑務所とシャバを往復していたようだ。


 ただし、今回は出頭したわけではなく署員も前科を知らないまま語りかけていた。「泥棒生活に疲れたんじゃないかな」と幹部は話している。


 男のように泥棒を繰り返す者は多い。捜査関係者は「何度も捕まって、警察から『そろそろ更生しろよ』と言われるやつばかりだが、彼らも本心では普通の生活を送りたいはず。刑務所の稼ぎは月5000円程度。家を借りたり、仕事を見つけるには全く足りない」。


 運よく仕事を見つけても、家賃や宿泊費を払うのが精一杯。そこで彼らが聞くのは「これで最後にすればいい」という甘いささやきだ。なにしろ、1か月働いて得る金を、1回の泥棒で手に入れることも可能だからだ。


「それでまた泥棒に手を染める。『最後の1回』が何度も続き、また泥棒生活に逆戻り」(同)。男に身寄りはない。約2年間を40万円で生活できるわけもなく、余罪もあるとみられる。