佐藤優氏 なぜ菅政権は崩壊?そして「特捜」が着々と…

2021年09月06日 12時00分

佐藤優氏(東スポWeb)

【マンデー激論】3日、菅義偉首相が今月29日の自民党総裁選に出馬しないと表明した。これで菅政権は事実上、終焉した。

 次期首相が国会で指名されるまで、残務整理を行うことになる。官僚は、次の自民党総裁(=次期首相)が誰になるか様子見をするであろう。その間、行政は停滞する。また、安倍晋三前政権、菅政権で力を持っていた官邸の幹部官僚の大多数も次期政権では入れ替えになるので、過去9年にわたって構築されてきたシステムは瓦解する。

 菅政権が崩壊した理由は3つあると思う。第1は、多くの人が指摘していることであるが、菅氏が自身の派閥を持っていないことだ。政局が厳しくなったときに生死を共にする仲間がいなかった。

 第2は、菅氏は官僚を信用せず、政治家と官僚経験のない民間人からの情報に依存したことだ。そのため、霞が関(中央省府)が持つ政治情報を十分に活用することができなかった。

 第3は、筆者はこれがもっとも重要な要因と考えるが、菅氏自身に命懸けでやりたい政治課題がなかったからだ。確かに菅氏はコロナ対策に全力をあげて取り組んだ。菅氏以外の人が首相であったとしても、コロナ対策が飛躍的に改善したとは思えない。しかし、コロナ対策以外に内政か外交かで、歴史に名前を残したいと思うような課題があれば、ぎりぎりのところで気力が萎えるような状態にはならなかったと思う。

 次期首相が誰になろうと、日本の政治は現在よりも混乱することになると思う。この状況に最も衝撃を受けているのが野党だ。衆議院解散、自民党幹部人事での菅首相のジグザグによって、国民には菅政権に対する忌避反応が生じ始めていた。これを最大限に利用すれば、与野党伯仲に近い状況を作り出すことができた。しかし、首相交代で自民党が新しい顔で総選挙(衆議院議員選挙)に臨むことで、それが難しくなってきたからだ。

 さらに今後の政局を注意深く観察しているのが「鬼の特捜」(東京地方検察庁特別捜査部)だ。安倍・菅政権はほぼ同一のシステムだった。この8年9カ月の間に溜まったオリ(政治家の腐敗・汚職)を整理したいという欲望を特捜検察は持っている。

 大物政治家を摘発して国民の拍手喝采を浴びたいという旧陸軍青年将校のような情熱を現場の検察官は持っている。総選挙後、特捜が本格的な政界捜査に乗り出すと筆者は見ている。

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