大阪や京都の市街地で道路標識に人型などのステッカーを貼って交通の危険を生じさせたとして、大阪府警は14日、自称イタリア・フィレンツェ在住の会社員浦川真弥(まみ)容疑者(43)を道路交通法違反の容疑で逮捕した。

 浦川容疑者は3日午前1時ごろ、大阪・梅田の市道で、一方通行の標識に矢印の先端がぐにゃぐにゃとゆがんで見えるステッカーを貼っていた疑い。現場近くの防犯カメラに、浦川容疑者と外国人風の男が支柱によじ登ってステッカーを貼る姿が写っていた。

 府警によると、大阪市内で計32か所、京都でも約30か所に同様のステッカーが貼られていたという。一方通行の矢印が魚の形になっていたり、進入禁止の白線をパックマンがかじっていたりとバリエーションは様々。偶然見かけた人は驚いたに違いない。

 浦川容疑者と一緒に防犯カメラに写っていた男は交際相手のフランス人芸術家クレ・アブラーム氏(48)とみられる。同氏は昨年末から今月5日にかけて大阪と京都に滞在し、標識にステッカーを貼りまくり、自身のフェイスブックにその模様を掲載していた。

 同氏はイタリアを拠点に活動する自称“標識アーティスト”で「道路標識は権威のシンボル。権威に対する抗議活動だ」と主張。イタリア以外でも仏パリ、米ニューヨーク、ハワイなど世界各地で同じ行為を繰り返していた。

 現地メディアでは「罰金刑を受けても道路標識にイタズラし続ける男」として話題の人物だった。イタリアで400ユーロ(約5万5000円)の罰金刑を受けても、標識に貼られたステッカーが除去されることなくそのまま街並みに溶け込んでいる場所も多く、日本と違いこうした行為に寛容な面もあったようだ。

 同氏は恋人の逮捕を知り「あれは全部私がしたことで彼女は無実。日本へ行って出頭する意思はあります」と話しているという。