中国で110人拘束「病死豚売買」大摘発の裏

2015年01月15日 16時00分

 マクドナルドなど食品への異物混入が社会問題化している中、お隣の中国では病死した豚を加工して売りさばいていた11のグループが摘発され、容疑者約110人が拘束されたという。公安省は12日までに問題の豚肉など約1000トンを押収した。中国人にとって、悪徳業者が病死豚の肉を販売しているなんてことは周知の事実というからすさまじい。今回の大摘発の裏には、習近平政権が進めている汚職一掃キャンペーンという名の下の対抗勢力潰しがあるとの指摘も。一体どうなっているのやら…。

 


 公安省によると、グループは2008年ごろから病死した豚を農家などから安く買い上げ、加工した上で湖南、河南両省、広西チワン族自治区など11の省・自治区で売りさばいていた。また、監督機関の役人が、正規の肉だとする合格証書を偽造していた。当局は、11年以降、病死した家畜を売りさばくなどした事案を4600件摘発したとしている。そもそも中国では庶民が日常的に口にする肉といえば「混合肉」と呼ばれるビニールチューブ袋詰め肉。羊肉をメーンに何だか分からない肉などが混じっている。


 食肉事情に詳しい中国人ジャーナリストの程健軍氏は「混合肉の材料となるネズミやネコを捕まえる際、安易に殺鼠剤を使っている場合が多いんです。そんな肉の串焼きで命を落とす人もいるくらいです」と語る。


 今回の摘発は混合肉よりも高級な豚肉。とはいっても、病死した豚の肉だ。中国では、病死した家畜が出た場合は、役場に連絡すれば無料で回収してくれる。それでも、農家にとっては電話代がもったいないし、埋めるのも労力がかかる。せっかくならお金をもらったうえ、引き取ってもらえればラッキーだと考えたのだろう。


 しかし、病死した豚肉を食べさせられてはたまったものではない。庶民のことを案じての摘発なのだろうか?


 程氏は「いや~、これは一連の権力闘争の一環、茶番の取り締まりですね。食肉以外のネズミなどの獣肉や病死した家畜の肉などの“小難肉”は、中国では一般的な誰でも知っている激安肉の一種です。合格証の偽装などは、地方の役人の公然の利権の一つ。それをわざわざ取り締まるのは、権力闘争による対立勢力の利権潰し以外の何物でもありません」と指摘する。


 今、中国の汚職の舞台となる高級レストランなどは、習近平主席の派閥による摘発を恐れて閑古鳥が鳴いているという。


「これに不満をもらす飲食業者への威嚇の意味もあるでしょう」と程氏。習政権のやることに不満をあらわにすれば、すぐ摘発するぞというわけだ。


 そもそも、中国でも豚肉を生で食べる人はいない。だから、業者も病死した肉を平気で販売するのだという。ちなみに今回、病死体を買い取った業者は、それを腐敗・ロウ化させ、油を搾り取るなどの複雑な工程を経て“地溝油(下水油)”という食用油を製造していた。他には“毒香腸”というソーセージにもしていた。


「火を通して殺菌するので、病原菌などは全く問題ないというのが肉業者と中国庶民の一般的な考えです。せっかくの安い肉を、少し病気にかかったくらいで廃棄するなんてありえませんよ」(同)


 しかし、豚は人間の臓器移植の実験にも使われるくらい組織構造が人間に近いため、人間の伝染病が感染することも多い。逆に、病死した豚肉に含まれる病原菌によっては食べた人間に感染することも十分考えられるというから恐ろしい。


 中国にしてみれば、マクドナルドの食品混入問題など大したことではないのかも…。