111羽大量死で判明したカラスの意外な“ヘタレ生態”

2015年01月10日 11時00分

「寝ぐら」の木の枝に止まるカラス

 埼玉県は12月29日から1月6日までの期間に、入間市など県内4か所で合計111羽のカラスの死骸が発見されたと発表した。県のみどり自然課によると、いずれも雑木林のあるねぐらの近くだという。スズメ、ハト、カラスの大量死は数年おきに起こるが、そのたびに天変地異の前触れか?などと騒がれる。今回の大量死を調べてみると、カラスの意外な真実が明らかになった。

 県内でカラスの死骸が大量に見つかったのは入間市のほか、狭山市、所沢市、熊谷市。簡易検査の結果、鳥インフルエンザは陰性だった。農薬や毒薬も検出されず、外傷もない。天敵の猛禽類や人間のせいでもなさそうだが、「胃の中が空っぽ」という奇妙な共通点があった。つまり、餓死なのか?

 県のみどり自然課は「原因は私たちが教えてもらいたいくらい。自殺じゃないかと考えたりもした」と話す。未知のウイルス感染や、宇宙人の仕業などの可能性についても否定はしなかった。

「何があるか分からない。UFOの仕業ならすごいね。私たちもいろいろ想像している」とコメント。動物が大量死すると、天変地異の前触れとの噂が立つことがあるが「県の災害対策部門はまだ動いていない」とした。

 不気味な大量死の謎を解明したのは、NPO法人「札幌カラス研究会」(北海道札幌市)代表の中村眞樹子氏(49)だ。

「昨年生まれた若い個体じゃないか。死因は、細菌性腸炎だろう。ふてぶてしいイメージはあるが、カラスは意外に弱い存在」

 カラスは雑食性が高く、悪食として知られる。都会ではゴミ収集場のゴミ袋に穴を開けて生ゴミを食い散らし、田園地帯ではスズメの死骸を食べ、海辺ではウニやアワビを食べたりもする。その悪食を支えているのは内臓の健康さ。病気になると極めて弱いのだという。

 カラスの子も弱い。春に生まれたカラスは10~12月ごろに、親から離れて独り立ちする。

「若いカラスは群れて行動して、つがいや友達を作る。感染性の病気があれば、あっという間に広がる。人間と同じで抵抗力もないので、若いと病気にも負ける」

 感染経路は人間の出したゴミや、土中のウイルスと考えられる。カラスが細菌性腸炎になると、「腸や肝臓が壊死する。脱水症状、下痢を引き起こす。食欲がなくなり、餓死する」。

 人間は気付かないが、カラスもひんぱんに死んでいる。

「『大量死』の届け出義務は1か所で5羽から。4羽ずつ10日連続で死んでも大量死にならない。けっこうカラスは死んでる。1日に100羽死んだなら驚くけど、1週間で合計100羽ならごく自然のことだと思う。札幌限定の話だが、生後1年時点で生き残るカラスは1割に満たない」

 なんだかカラスに対する見方が変わってしまいそうだ。

 ちなみに「ねぐら」は「木の枝に止まって夜に眠る」もので、「巣」は「ヒナを育てる」もの。ねぐらから、ご飯のある街へ朝出て夜帰る規則正しい生活をしている。