朝日新聞のいわゆる従軍慰安婦の報道について検証する第三者委員会(委員長・中込秀樹元名古屋高裁長官)が22日に会見を開き、木村伊量前社長(61)の大ウソを明らかにした。人気ジャーナリストの池上彰氏(64)のコラムが掲載見送りになった件で、木村氏は「編集担当の判断」としていたが、実際は木村氏が掲載に難色を示したことが原因だったというのだ。

 第三者委員会の報告書では、池上氏が連載していたコラム「新聞ななめ読み」をめぐる騒動についても言及された。

 従軍慰安婦報道を検証する過程で朝日は池上氏に、8月5、6日に掲載された検証記事についてコラムで取り上げるよう依頼。承諾した池上氏が原稿をコラム担当者に送ると、朝日社内に異変が起きた。

「訂正するなら、謝罪もするべきではないか」という趣旨のコラムを読んだ木村氏は、掲載に難色を示したという。木村氏の意向に編集現場は抵抗しきれず、予定されていた8月29日付紙面での掲載を見送った。

 経営幹部は当時、検証記事に対する外部の反応に神経をとがらせ、関連報道には担当役員と木村氏が目を通していた。池上コラムの掲載見送りについて木村氏は「編集担当の判断」と説明してきたが、真っ赤なウソが明らかになった。

 また、掲載見送りになった時点でコラム担当者は連載打ち切りを覚悟。報告書は「実質的には、その時点で打ち切りは決まっていたと認められる。現に池上氏は(見送りを決めた8月)28日の時点で終了が決まったと理解していた」と事実認定している。

 当初、朝日は「連載中止を正式に決めたわけではなく、池上氏とは今後も誠意を持って話し合う」と継続の交渉をしていると説明した。実際は、コラム担当者と池上氏の間では連載の終わらせ方について話し合われており、現場と広報担当の間で情報が共有されていなかったことも判明した。

 結局、池上氏のコラムはすでに終了しているということなのか。高田覚・広報担当取締役に本紙が質問すると…。

「現在も朝日新聞社としては継続をお願いしています。池上さんからは、第三者委員会の判断と朝日新聞の対応を見て判断したいとおっしゃっていただいていますので、私どもの対応と第三者委員会の見解を踏まえて、継続をしていただければと思います」

 いったんは連載終了の方向だったものを、社内外の批判が高まったことで判断を翻したということだ。

 この“池上コラム問題”の責任を取り、当時の取締役ら3人が出勤停止2か月や停職2か月になると発表。木村氏は、すでに朝日を去っているため処分はない。

 木村氏は「私が池上さんのコラムについて修正が必要だと強い調子で意見を言ったことが、編集担当の判断を左右することになったとの指摘も重く受け止めます」とコメントを発表している。

 今回の会見は事前報道自粛の要請があり、会見場も当日まで明かされなかった。「アンチ朝日新聞の勢力が、街宣しに来るのを避けたかったのでしょう」(公安関係者)

 池上氏の判断やいかに。