東京五輪開催に伴う交通規制で、都民の台所である東京・江東区の豊洲市場に買い出しに通う飲食店が泣かされている。

 東京都は6月下旬ごろから大会期間中を通して、都内の一部を通行止めにするなどの交通規制を本格的に行い、その影響で市場周辺から都心に向かう一般道が大渋滞になっている。

 中央区の和食店の店長は「豊洲大橋は申請していない車は通れない。それでも豊洲市場の正面入り口まで大渋滞。一般車両も通れる晴海大橋はそれ以上に渋滞している。問題は帰りです」と言う。

「仲卸業者から魚介類を仕入れて、帰るんですが、帰りも大渋滞で晴海大橋を通って帰ると、前は30分かからなかったのが、今は2時間以上かかる。葛飾区の知り合いの飲食店は『4時間遅れで店に着いた』と言ってました。いくら、氷をたくさん詰めても溶けてしまい、魚の鮮度が落ちるんですよ」(同)

 仕入れの往復に時間がかかって、店の仕込みに間に合わないこともあるという。しかも、政府と都の時短要請で、酒類を提供しなくても営業時間は午後8時まで。労働時間は短いが、道路渋滞で通常営業以上に疲労が蓄積するという。

 飲食店だけではない、豊洲市場の水産仲卸業者も4度目の緊急事態宣言で客足が激減し、経営危機に追い込まれている。

 水産仲卸業者責任者は「4度目の緊急事態宣言で豊洲市場の水産仲卸業者の客は3分の1以下に激減しました。酒類提供禁止になったために休業する飲食店が激増したからです。水産仲卸棟はゴーストタウン化しました。倒産する仲卸業者が続出しますよ」と明かす。

 コロナ禍での東京五輪開催は、飲食業界とそれを支える豊洲市場をさらに窮地に追い込んだ。