幸福実現党の加藤文康氏(52)は一見堅物だが、実際会って話をしてみると柔和という言葉のほうがしっくりくる。「世界一のビートルズ好き」を公言する“普通のお父さん”が音楽への思いを語った。

 ――ビートルズとの出会いは中学生の時だったという。現在の年齢を考えると、ビートルズをオンタイムで聴いていた第一世代ではない

 加藤:ビートルズ人気が再燃した私の中学時代、友達が聴いていた曲に影響を受けて聴くようになりました。当時はCDなどなく、全て大きなレコード盤。それまではキャンディーズなどが好きだったんですが、「大人の雰囲気で背伸びしたいな」という思春期にちょうど、出会ったのがビートルズだったのです。

 ――それまでは流行の歌を追いかけていた青年が最初にハマったのが、王道の「イエスタデイ」。

 加藤:当時はLP盤(現在のアルバム)なので、「イエスタデイ」を聴こうとすると、収録曲全てを聴くことになる。A面、B面を聴いて衝撃を受けました。「ガーン!」と頭から真っ逆さまに落とされた感覚で、一気に引き込まれました。それ以来、キャンディーズは卒業してビートルズに恋をしました。

 ――すっかりトリコになって小遣いをもらうたび、レコード店にダッシュしていた

 加藤:これは1970年代前半の話で、ビートルズが解散したばかり。まだ現役に近い感じでした。初期にさかのぼるようにアルバムを揃えていきました。ライブ感というか、激しい感じのなかに切なさがあります。そこがたまらないのです。

 ――62年から70年までの8年間に全世界を熱狂の渦に巻き込んだビートルズ。中学から高校へ上がるようになると、世界が熱狂した理由が少しずつ見えてきた

 加藤:中学時代は歌詞の内容はわかりましたが、いまひとつピンときませんでした。それが高校になると私の精神年齢も大人になり“本質”が理解できるようになりました。たとえば「ヘルプ!」という楽曲などは、最初は“良質なポップソング”のイメージでしたが、高校生になると“ジョン・レノンの魂の叫び”であることが感じ取れました。深い、本当に奥が深いです。

 ――今でも疲れたときや気分転換を図りたいときには必ず聴くというビートルズ。大人になった今の自分にとってビートルズの魅力は

 加藤:全く個性が異なる天才がジョンとポール・マッカートニー。この偉大な2人がコラボしながら、ジョージ・ハリスンとリンゴ・スターが引き立てる。4人がそれぞれの個性をぶつけ合って形になりました。今では絶対、生まれないバンドですね。