京都の“毒婦”が利用した公正証書の抜け道

2014年11月27日 07時00分

 京都府向日市の無職筧勇夫さん(75=当時)を青酸化合物で殺害したとして、殺人容疑で逮捕された妻の千佐子容疑者(67)は、交際男性らが遺産相続を約束した公正証書などに基づき、10億円以上の財産を得たとされている。公正証書は相続トラブルを回避できる安全確実な方法として知られ、千佐子容疑者も特性を熟知していたとみられる。

 遺産相続の公正証書は、裁判官、検察官を退職するなどした公証人が中立的立場から作成。遺言者と直接面談し、本人の意思を正確に文章にまとめる。印鑑証明や実印などで本人を確認し、証人2人の立ち会いも必要。原本は公証役場で保管され、破棄や改ざんされる恐れもない。

 日本公証人連合会(東京)によると、相続権がない内縁関係の妻に財産を残す場合、公正証書などの遺言が必ず必要としている。

 詐欺研究家の野島茂朗氏はこう語る。「公正証書を作れば、相続がスムーズにでき、予防法務として使われています。相続裁判戦争を予防した用意周到な手口ですね。(千佐子容疑者は)心の隙間がある身寄りのない独身高齢者の資産家ばかりを狙っています。公正証書に対して異議を唱える親族や推定相続人がいなかったので、数人重ねることができたのでしょう」

 超高齢化社会で、今後もひどい手口が増えそうだ。「例えば、成年後見人が認知症の成年被後見人をカモにする場合に、悪徳医師2人と組む例があります。『被後見人の認知症の状況がいいので、本人の意思で遺言を書いた』と、悪徳医師2人が保証するような形で遺言書を作成できるので要注意です」(野島氏)

 高齢者が認知症の高齢者を詐欺のターゲットに狙うような社会になりつつあるのだろうか。