金正恩氏“外遊デビュー”は成功するか

2014年11月19日 09時00分

 北朝鮮の金正恩第1書記がロシアのプーチン大統領(62)と首脳会談する方向で調整されていることが判明した。実現すれば正恩氏の“外遊デビュー”となるが、果たして成功するのか。

 北朝鮮の崔竜海・朝鮮労働党書記が17日、正恩氏の特使としてロシアを訪問するため平壌を出発した。24日までロシアに滞在し、プーチン大統領らと経済関係の強化や核問題などについて話し合う見通しだ。正恩氏の訪ロについても協議する可能性がある。

 ロシア側はガルシカ極東発展相が先月、ラブロフ外相の言葉を引用して正恩氏がロシア訪問の可能性があると強調した。

「プーチン大統領サイドが正恩氏と首脳会談する狙いは、中国と北朝鮮の関係が冷え込む隙に影響力を強めたいからでしょう。先月、ロシアと北朝鮮で鉄道整備事業の協力で合意していますが、実現するかはまだ不透明な状況です」と日本の公安関係者は指摘する。

 正恩氏が最初の外遊先に中国ではなくロシアを選ぶことになれば、“金ファミリー”伝統の慣例を破ることになる。

 平壌情勢に詳しい関係者は「正恩氏の父親である金正日総書記は、父の金日成主席の意向をしっかり守り、最初の外遊先は中国でした。金ファミリーの伝統が慣例に反映されないのは、北朝鮮国内が混乱しているからです」と指摘する。

 今年、国営テレビは正恩氏が食事などの不摂生によって生じる痛風を患ったり、軍事演習を視察した際に「足を負傷した」などと、ネガティブ情報を伝えている。異例のことだ。

「高齢の朝鮮人民軍将軍たちが宮廷革命を起こして、正恩氏を自宅監禁しているという情報も流れています。その将軍たちが正恩氏を操ってロシア訪問させれば、中国の習近平氏の逆鱗に触れる。経済支援をストップさせて、北朝鮮でクーデターが起きた場合、難民の引き受けもしなくなる」と前出の公安関係者。

 もし難民が発生した場合、“脱北者”が船で大量に日本にやってくる可能性がある。強制送還しようにも、受け入れようにも、多大なコストが掛かる。正恩氏の訪ロは日本にとって人ごとではない。