朝日新聞 社会部出身社長抜擢で出直しアピール

2014年11月15日 11時32分

 朝日新聞社は14日、東京電力福島第1原発事故の「吉田調書」報道の取り消しや、従軍慰安婦報道をめぐる対応の不備の責任を取るとして、木村伊量社長(60)が12月5日付で辞任すると発表した。後任には本紙昨報通り、渡辺雅隆取締役(55)、代表権のある会長に飯田真也上席執行役員(63)が就任する。


 同社は15日付1面で辞任と後任人事、「社会や読者のみなさまの信頼を大きく傷つける結果を招き、深くおわびする。いずれも最終責任は経営トップである私にある。責任を明確にするため辞任する」との木村社長名の文書を掲載。同社長は吉田調書報道の記事の間違いを認めて謝罪した9月11日の記者会見で「編集部門の抜本改革など再生に向けて道筋を付け、進退を決断する」と引責辞任を示唆し、10月31日に社内向けのインターネットサイトで、11月中旬に退任を発表する意向を示していた。


 コンプライアンス・管理・労務などを担当していた渡辺氏は1982年入社の社会部出身。朝日新聞の社会部出身社長は戦後1人だけで、異例の抜てきとなった。


 一連の朝日新聞の問題は8月5、6日付朝刊に、過去の従軍慰安婦報道の検証記事を掲載。「済州島で強制連行した」とする故吉田清治氏の証言が「虚偽」だったとして関連記事を取り消した。ジャーナリスト池上彰氏がこの検証記事を批判した連載コラムの掲載を、同紙が一時断ったことも判明。9月11日の会見では、東京電力福島第1原発事故をめぐる故吉田昌郎元所長の「聴取結果書(吉田調書)」に基づく5月の報道でも誤りを認め、記事を取り消した。


 朝日関係者は「信頼は失墜し、取材はしづらいわ、不買運動が起きるわで、部数は100万部減ったともいわれ、広告主には『朝日への出稿をなぜやめないのか』と嫌がらせまであった。社会部出身社長は『朝日は変わった』という象徴、抜本的に出直しを図るという意味だと思う」と話している。