いまどきの学生に「学生運動再点火」の兆し

2014年11月15日 11時00分

 いまどきの学生たちに変化が起きている。4日に京都大学に公安警察が侵入して学生らに拘束された騒動を受け、12日に学生らが京大で抗議活動を行った。そもそもの発端は2日にあった東京のデモで京大生2人が公務執行妨害容疑で逮捕されたことにある。2人は中核派系全学連の活動家とみられる。21世紀の現代でも過激派学生がいることが驚きだが、公安関係者は「一般学生が過激派学生を許容する空気がある」と指摘。大規模な学生運動があり得るのか。

 京大吉田南キャンパスで京都府警警備2課の男性警官が学生らに拘束されたのは、4日午後12時過ぎのこと。ネット社会らしくツイッターを通じて、拘束の様子が実況中継された。京大副学長は「事前通告なしに警察官が構内に立ち入ることは誠に遺憾です」とコメントを出している。

 学生らは前触れもなく警察官を取り囲んだわけではない。2日、東京・銀座で中核派系組織によるデモが行われた。その場で参加者3人が機動隊に暴行を加えたとして逮捕された。3人のうち2人が京大生で、4日は逮捕に対する抗議活動をしていたという。

 捜査関係者は「おそらく学生らは警官が紛れ込んでいることに以前から気づいていたはず。2日のデモで学生が逮捕されたので、その報復として拘束に至ったのでしょう」と話した。

 学生運動といえば1960年代の安保闘争や全共闘運動が最盛期。その後、勢いはしぼんだ。今でも学生活動家がいてもおかしくはないが、改めてニュースになると、まだいたのかと驚いてしまう人も多いだろう。

 学生運動に詳しい関係者は「変な言い方になりますが、京大の学生運動は頑張っている方です。中核派は京大の学生自治会を掌握していなかったのですが、勝手に自治会の選挙をするなどして活動するようになっていた」と説明する。

 ネットの発達による情報過多で、娯楽がたくさんある現代において、どうして学生が活動家になってしまうのか。

「高校生のころから校則改正の運動をしていた人が大学に入って反権力に目覚めたり、大学寮に入って共同生活を送る中で、アジテーションのうまい先輩に感化されたりするのです。また、革マル派が学生の獲得を進めており、政治色を出さない社会問題を前面に出した新入生歓迎講演会を企画し、有名なジャーナリストを呼ぶなどして学生の関心を引く手法を取っているといいます」(前出の関係者)

 学生が反権力に目覚める理由は様々だ。公安関係者は「学生活動家が増えているわけではないし、学生らが革命を見すえているのかというと疑問です」と語り、大ごとにはならないとみている。

 しかし、同関係者は「京大の警官拘束の様子をネットで見ましたが、一般学生が『やっちゃえ』とあおり、彼ら過激派を許容しているようにも見える。昔なら一般学生は嫌悪感を覚えたはず。その変化に驚いています」とも指摘する。

 かつてのように活動家がアジトにこもって密談ということをしなくても、ネットでつながりやすいという面もあるだろう。現に海外の学生デモは、ソーシャルメディアで情報を共有し、行動しているという。

 香港では9月から学生たちによる“雨傘革命”という大規模なデモが続いている。2017年の香港行政長官選をめぐり、中国が民主派を事実上排除する制度を決めたことに対し、香港で続く抗議デモだ。さらに今年3月、台湾でも“ひまわり学生運動”として、中国とのサービス貿易協定をめぐり、学生たちが立法院を占拠する運動が起こった。

 日本でも過激派を含めた団体による大規模学生デモの予感もある。7月に安倍政権は集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。これに伴う安全保障法制の整備が来年の通常国会で予定されている。抗議活動が起きるのは間違いない。