サンゴ密漁に「罰金引き上げ」は効くか

2014年11月09日 16時00分

 小笠原諸島や伊豆諸島周辺でサンゴの密漁を繰り返していた中国漁船が、台風20号の接近で一時退散していたが、台風が遠のいたことで再び200隻近くが周辺海域に戻ってきた。日本側は現在最高1000万円の罰金を引き上げる方針を固めたが、密漁を防ぐ効果はあるのか。

 中国船を無許可操業で逮捕した場合、日本領海内か排他的経済水域(EEZ)かで対処は異なる。日本領海内での逮捕時には、船長の身柄を48時間以内に送検するために横浜の海上保安本部まで飛行機などで移送する。船長には400万円以下の罰金が科される刑事手続きがとられ、身体的拘束もかけられる。

 一方、EEZでの逮捕時は、船長が担保金を支払えば、釈放しなくてはいけない国際的な取り決めがある。日本での無許可操業の担保金は400万円といわれる。先月、逮捕された5人の船長中、4人がEEZでの逮捕で、担保金で釈放された。

「その場で現金で支払ってもいいが、船に現金を積んでいるケースは少ない。支払い期限は1か月以内で、本国に戻ってからの手続きになる」(水産庁)。中国政府が事実上の“保証人”となり、支払わない場合には中国当局が厳格に対処するため担保金を踏み倒されるケースはほぼないとも。それでも、最高1000万円の罰金と担保金を合わせてもサンゴで得られる莫大な収入と比べれば、スズメの涙でしかなく、抑止効果は薄い。

「ロシアが日本の漁船をカニ密漁などで拿捕したとき、1億円を超える担保金を要求し、日本を仰天させました。船を返してもらうのも別料金。罰金を引き上げるならロシア並みといきたいところですが、日本は“ロシアの罰金は高すぎる”と海洋法裁判所に訴えた過去がある手前、はね上げるわけにはいかないのでは」(永田町関係者)

 数百万円程度の罰金上積みでは、密漁抑止も期待できそうにない。その前に検挙率を上げなくてはいけないが、巡視船の数は少ない。波が荒くなる冬季に密漁船は姿を消しそうだが、宝石サンゴはそれまでむしりとられることになりそうだ。