エボラ「中国から侵入」の危険度

2014年10月30日 07時30分

 日本国内で初めてエボラ出血熱の疑い例となったカナダ国籍の男性ジャーナリスト(45)が血液検査で陰性と判明し、感染騒動はひとまず収束した。男性の搬送、隔離、検査という対応はスムーズで、今後、西アフリカから感染者が入ってきた場合のいい予行演習になっただろう。しかし、エボラ出血熱で注意すべきは、実は今回の男性のような西アフリカからの入国者ではない。エボラウイルスは、隣の中国から入ってくる可能性が極めて高いという。どういうことなのか?

 エボラ出血熱の感染が疑われた男性への対応で塩崎恭久厚生労働相(63)は、28日の閣議後の記者会見で「いろんなケースを想定し準備をしてきたが、検査までの手順はおおむね用意していた通りにできた」と話し、あらためて今後の対応に万全を期す考えを示した。

 また、政府は同日午前、エボラ出血熱の海外での拡大を受け国内対策強化のため初の関係閣僚会議を首相官邸で開いた。安倍晋三首相(60)は「関係機関と緊密に連携し、検疫の徹底、迅速な初動検査、二次感染の防止に万全を期してほしい」と指示した。

 エボラ出血熱は西アフリカで流行が止まらず、米国やスペインにも飛び火した。27日には日本で初めて今回の疑い例が出るなど、水際対策や国内での拡大阻止が差し迫った課題になっている。

 海外ではオーストラリア政府が28日までに、エボラ出血熱が流行する西アフリカからの渡航者について、査証(ビザ)をキャンセルするなどの入国管理を厳格化する措置に踏み切った。オーストラリアの永住者で西アフリカから帰国する場合は、渡航前に約3週間の隔離期間を要求している。

 日本はまだオーストラリアほど強い対策は取っていない。それでも、西アフリカから日本への入国者は対応しやすい。しかし、最も注意すべきは中国からの入国者だという。

 そもそも中国ではエボラ感染者はまだ出ていないとされるが、今後、爆発的に広がる可能性があるというから恐ろしい。もし、中国でエボラ出血熱の大発生が起こるとすれば、広東省だとみられる。

 中国人ジャーナリストの程健軍氏はこう語る。

「中国は西アフリカとの貿易が盛んですが、その中心地がリトルアフリカと呼ばれる広東省の広州市です。40万人以上といわれるアフリカ系の人々と、西アフリカを往復する中国人の巨大ビジネス拠点となっています。今、西アフリカの人々が世界で最も行き来するのが中国と言っても過言ではありません。上海の富裕層の間では、“華南の広東省にはしばらく行くな!”というのが常識となっています」

 エボラ出血熱の主症状である発熱、頭痛、嘔吐、下痢などは、PM2・5や黄砂が渦巻く中国では日常茶飯事。風邪と見分けがつかないようだ。だから、広州に近づかないという選択になるのだという。

「一番の予防策は手洗いと言われていますが、水不足の中国でそれを行うことは不可能です。また、日本の専門家は飛行機のような密室でも、直接接触しなければ大丈夫と言いますが、それは中国の現状を知らなすぎます。国中に蔓延する南京虫やノミなどの吸血虫からの感染の可能性考えると、飛行機の最前列と最後尾に座ったとしても、防ぐことはまず不可能です」と程氏。

 エボラウイルスは生存能力が弱く、吸血虫が中間宿主になったケースは現在のところ報告されていない。しかし、密室で吸血虫が短時間に複数の人間の血を吸うような事例がないだけで、今後、起こらないとは限らない。

「広東省方面からの来日者は、年間40万人以上と言われています。日本は安全という話はとんでもない。中国が危険地帯なら、むしろ日本は世界で一番危険にさらされている国と言っても間違いないでしょうね」(程氏)

 水際で中国からの入国者すべてを疑うことは不可能だ。発症者は熱が出ているため、空港の熱センサーで感知可能だが、発症前に入国した場合、防ぎようがない。広東省からの入国者を西アフリカと同程度の危険度とみなさなければならないのかもしれない。