佐藤優氏 6・16ジュネーブ首脳会談で米ロ関係に改善の兆し

2021年06月07日 16時00分

佐藤優氏

【マンデー激論】東西冷戦終結後、最悪の水準にある米ロ関係に改善の兆しが見えてきた。

 米ロ両国政府は5月25日、スイスのジュネーブで6月16日にバイデン米大統領とロシアのプーチン大統領が会談すると発表した。バイデン氏が大統領になってから初めてのプーチン氏との会談になる。もっともバイデン氏は、プーチン氏が「殺人者」であるという認識を公の場で述べた。プーチン氏がこのような侮辱的発言を許すことはない。バイデン、プーチン会談が和気藹々とした感じになる可能性は皆無だ。

 5月末、クレムリン(ロシア大統領筋)から、ジュネーブ米ロ首脳会談の見通しについてこんな情報が届いた。

「ロシア側としては、予期しない『不都合な』議題を持ち出してほしくない。ロシアにとっての『好都合な』議題とは、両国が合意できるであろう、軍縮に関する新しい交渉の可能性について、気候変動問題に関する協力について、中東、北朝鮮、イランとアフガニスタンに関する意見交換などがある。『不都合な』議題は、まずは、ウクライナ問題。ウクライナ支援を強化している米国はミンスク交渉に参加しようとし、ウクライナのNATO加盟も推進している。同様に、ベラルーシ情勢の話も問題外だ。ロシアの国内問題、特に(反政権活動家の)ナワリヌイについて。ロシアが首脳会談で米国に望むのは、『国内問題への非干渉』の立場で合意することだが、米国側は『人権問題』を持ち出してこれを受け入れないだろう。この問題は、ブリンケンにとって最大のテーマであり、対中交渉とリンクするもので、特に重要である」「クレムリンの外交専門家は、首脳会談で何らかの成果があるとは期待しない。それはロシアの立場を直接、米大統領に主張する機会にすぎない。クレムリンのある高官は『合意がひとつも成立しなくても、誰も失望しない』と言っている。両首脳は少なくとも、それぞれの意見を公表し、自分たちの『レッドライン』はここだと双方に明確に示すことだろう」

 ロシア政府からのメッセージは、バイデン新政権との間で、お互いに「この線を越えた場合には激しく反発する」という「レッドライン」を定め、新たなゲームのルールを確立したいということだ。

 客観的に見るとロシアは、帝国主義的な勢力均衡外交を展開しようとしている。米国もロシアが設定した土俵に乗ることにした。

 それは、バイデン政権が中東問題に深入りし始めたので、ロシアとこれ以上対立しないようにするという現実的思惑からだ。

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