埼玉県は9月30日、三郷市の北部浄水場で毒グモのセアカゴケグモ計51匹を発見したと発表した。かまれた人はいない。県によると、同月29日に浄水場の排水溝で4匹を駆除。30日にも47匹を確認し、殺虫剤をまいて駆除作業した。県は「見つけても触らないでほしい」と呼び掛けている。

 セアカゴケグモは先月も三鷹市で、都内では初めて見つかっている。東京では代々木公園を中心に蚊がデング熱ウイルスを媒介し、あたりは危険スポットと化している。気候変動の波で、さらなる害虫も猛威を振るいかねない。

 セアカゴケグモは米国からの建築資材に紛れ、国内に侵入してきたとみられ、1995年に大阪で初確認された。三鷹の発見例により、国内の分布は岩手から沖縄までの35都府県に広がった。メスは毒を持っており、かまれると腫れたり、熱を帯びるなどし、筋肉マヒが生じ重篤化するケースもある。

 69年ぶりに国内感染者が出たデング熱の拡大では、首都圏の亜熱帯化が背景にあるとも指摘される。人の生態に影響を与える外来種を研究する国立環境研究所は、セアカゴケグモのように害を及ぼす危険な生物を挙げている。

 温暖化により、生息エリアの拡大が懸念されているのは、アフリカマイマイやサツマゴキブリなどだ。食用カタツムリでも知られるアフリカマイマイは、沖縄や小笠原諸島に定着していたが、鹿児島や神奈川でも発見され、既に本土上陸している。脳炎を引き起こす寄生虫を持つために、外来種ワースト100にも入る危険種だ。

 三葉虫のような異様な形のサツマゴキブリは、飼育用に販売されマニア人気もあるが、一般的には不快害虫に相当する。九州南部や四国で生息しているが、温暖化の影響で北上し既に千葉や静岡でも確認されている。

 都内の害虫駆除業者は「デング熱(媒介)蚊やセアカゴケグモが発生したのをみると、亜熱帯化が加速していると思われる。これまでいなかった害虫が、徐々に首都圏で増えてくるでしょう。新たな駆除対策をとらなくてはいけない」と警鐘を鳴らした。