オバマ米大統領(53)は23日、国連総会出席のため訪問したニューヨークで、イスラム教スンニ派過激派「イスラム国」のシリア側拠点への空爆に参加したサウジアラビアなど5か国とイラクの代表らと会談し、結束を誇示。イスラム国壊滅を目指す有志国の結集、拡大へ向け、国連を舞台としたオバマ大統領の働き掛けがスタートした。

 安倍晋三首相(60)は同日、イランのロウハニ大統領(65)と米ニューヨークの国連本部で会談し、イスラム国について「国際秩序を揺るがす脅威」と非難。イスラム国との戦いのため、米軍などが始めたシリア領内での空爆に関し、日本政府は理解を示すとともに、事態の推移を注意深く見守る方針だ。

 米国防総省は、空爆ではF22ステルス戦闘機や巡航ミサイル・トマホーク40発以上を使い、シリア北部一帯を攻撃対象とした。この掃討作戦は成功するのか。

 軍事専門家は「米軍は地上軍を投入せず、空爆だけでイスラム国を壊滅させる方針だが、長期化が予想されています」と指摘する。

 国際社会の中で米国人ジャーナリスト2人を殺害した衝撃の画像を流したイスラム国は、今では国際テロ組織「アルカイダ」をしのぐ“世界で最も危険な組織”として恐れられている。

 イスラム国は外国から若い戦闘員を募るため、ネット上に「堕落した生活を捨てれば、あなたは殉教者になり天国が約束されている」という動画を巧みに配信している。

 米国CNNの最新調査によると、シリアに渡航してイスラム国の戦闘員として参加する外国人の数は1万1000人以上であることが判明。英国は500人、ドイツ約300人、米国100人以上となっている。

「米国政府は社会に不満を持つ若者たちのイスラム国への参加を食い止めようとしていますが、うまく進んでない。シリアに渡航し、イスラム国に参加していた一部の若者たちが帰国していることも分かっている。こうした戦闘員たちが米国内で報復テロを行う危険が警戒されています」(同)

 国際社会の新たなテロとの戦いは、覚悟が求められている。