朝日の記者がツイッターで見せた“本音”

2014年09月13日 07時00分

遅すぎた木村社長(右から2人目)の謝罪。右は解任された杉浦取締役編集担当

 朝日新聞社は11日、木村伊量(ただかず)社長らが出席し都内の同社で開いた緊急記者会見で、東京電力福島第1原発の吉田昌郎元所長(昨年7月死去)が政府事故調に対して当時の状況を語った「吉田調書」に基づく作業員「命令違反」「撤退」記事を取り消し、謝罪した。従軍慰安婦問題での記事取り消し、ジャーナリスト池上彰氏(64)の連載コラムについてもおわび。これを受け、SNS界で“日本一風通しが良い”と話題の朝日記者はさっそくツイッターなどで様々な反応を示した。信頼失墜の朝日新聞社を記者たちはどう受け止めたか――。

 2000人を超える記者を抱える朝日新聞は、ツイッターの活用を推進している。記者個人としては約150人が社公認アカウントでツイッターを使用。池上彰氏の原稿掲載拒否騒動時には上層部や編集方針に批判の声が相次ぎ、池上氏の原稿再掲載や今回の謝罪会見につながる背景になったともみられている。今回も11日夜の会見直後から深夜まで数十人の記者がツイートした。

「この事態に至るまで止めるすべは何もなかったのか、慙愧に堪えません」(梅原季哉欧州総局長)、「自分が勤める会社の社長がお詫びする記者会見を記者として取材するのは、何とも悔しくつらい経験」(北野隆一編集委員)、「誤報のことはごめんなさい。でも、これで朝日新聞の記者やめたら漢がすたる」(小滝ちひろ編集委員)、「朝日の911になりました」(冨永格特別編集委員)と感傷や悔恨のツイートが並んだ。

 一方、この日、編集担当の職を説かれ、トカゲの尻尾切りともなった杉浦信之編集担当への同情とも取れるツイートも多く見受けられた。杉浦氏が池上氏の原稿掲載見送りを最終判断したとの発言に「杉浦は朝日官僚体質とは無縁の、というより対極にある男」「杉浦がそんな判断ミスをするとは思えませんが、編担の立場から“会社防衛”的な思考に走ったのかもしれません。一切の責任を背負うつもりでしょう。この馬鹿野郎が」(冨永氏)、「記者魂にあふれる方でしたが“池上コラムの見送りは私が決めた”という言葉に愕然とした」(鯨岡仁首相官邸担当)、「過去の弊社の姿勢について厳しく書くことができたのも、杉浦さんがいたから」(小森敦司記者)と慰労のツイートもあった。

 木村社長は会見で「(池上騒動時にツイッターで)かなり厳しいご批判を上層部に向けられたのは承知している。残念なことではあったが、自由な言論空間を保障するのはモットーであり、誇り。(今後も)ツイッターを制限をかけることは一切ない」と話したが、大っぴらに社長を批判するツイートは見受けられなかった。

「伏してお詫び申し上げます。悔しくてなりませんが、政権のヨイショを繰り返すような報道機関に堕すことは断じてなりません」(前田直人編集委員)と産経新聞や読売新聞を指したとみられるツイートも。こんなところに、エリート意識が高すぎると評判の朝日記者らしさもあふれていた。

 一方、連載不掲載の当事者、池上氏は滞在中のトルコ・イスタンブールで、共同通信などの取材に答え、朝日側が従軍慰安婦問題の過去の報道を謝罪したことについて「遅きに失したが、皆に謝罪したのは評価してよい。朝日新聞は謝罪すべきだと書いた私の主張を受けとめてくれた。私にも謝罪したのだと思う」と語った。

 朝日新聞での今後のコラム執筆については「(朝日新聞側の会見の)詳しいニュアンスがまだ分からないので、なんとも言えない。現時点ではコメントしようがない。帰国後、子細に検討したい」と本紙既報通り、今後も様子をみたうえで、結論を出すとの意向を語った。