【北朝鮮ルポ・後編】違和感ありあり不思議な“演出”

2014年09月07日 18時30分

万景台(金日成生家)を見る学生

当時のまま保存?塗り直されていた生家

【北朝鮮ルポ・後編】アントニオ猪木参院議員(71)の19年ぶりの北朝鮮プロレス大会を取材するため現地入りした日本の報道陣は連日、早朝から平壌市内の観光に“明け暮れ”た。1社につき1人のガイドがつき、バスで名所をめぐる。行く先々で待ち受ける未知なるものに、ツッコミを入れていいものか困惑するも、先方はいたって大マジメ。少しでも「近くて近い国」になれるよう、本紙記者が見聞きした不思議なものをお届けする。後編は、北朝鮮の観光地やホテル、街中の様子を紹介――。

 建設中の新ターミナルを横目に、倉庫のような平壌国際空港に降り立ったのは8月28日午後7時ごろだ。そこで、第一村人ならぬ第一平壌市民に遭遇。ガイドさんだ。本紙の担当は32歳の既婚女性だった。あいさつもそこそこに言われたのが「パスポートとビザとチケットを私によこしてください」。さらに、取材費や観光費として1人500ユーロ(約6万8950円)を支払うことに。かなりの大金である。取材申請書をその場で書くことになり、会社紹介や自分の履歴を日本語で書かされる。日本語でOKということは読める人がいるのだろう。

 宿は47階建てのヤンガットホテル。エアコンもあるし、シャワーのお湯もしっかり出る。携帯電話は持ち込み可能だが、そのままでは使えないのでホテルでレンタル。インターネット環境は有線LANケーブルが常備されており、フロントに言えば開通する。飲み物等を売っているショップやレストランも夜遅くまで営業。紙幣はドル、ユーロ、元、円が使える。

 翌29日、まずは「万景台(マンギョンデ)の生家」へ。ここは1912年4月15日に金日成国家主席が生まれた農家。農具や水がめ、金主席が4歳のころに「朝鮮独立万歳」と書いた机などが当時のまま保存されている。しかし、家の壁は明らかに塗り直されており、当時のままではない。

 報道陣が見学し終わった直後に小学生の集団がやって来た。「狙いすましたかのようだな」とはテレビ局スタッフ。

「玉流(おんみょう)児童病院」という昨年できた施設にも連れて行かれた。「偉大なる指導者、金正恩同志の指導で建設されました。3回にわたっての現地指導で、いろいろな問題を直接解決してくれました」(ガイド)。現地の人は必ず、金正恩氏に「偉大なる指導者」と付け加え、同志か元帥と呼ぶ。<次のページへ>