新潟県の10代男性と横浜市港北区の20代の男子大学生、神奈川県横須賀市の10代の女子高生が国内でデング熱に感染した疑いがあることが31日、新潟県や横浜市などへの取材で分かった。いずれも最近1か月以内に海外渡航歴はなく、8月に東京・代々木公園周辺を訪れていた。全員、快方に向かっている。代々木公園が感染スポットになっているが、同公園はデング熱流行国から多くの人々が集まっていた。

 新潟県や横浜市の機関が血液検査した結果、感染を示す陽性反応が出た。厚生労働省によると、国立感染症研究所(東京)が最終的に検体を確定検査しており、確定すればデング熱の国内感染は6人となる。新潟、神奈川両県以外にも複数の疑い例があり、結果が確定したら9月1日午後にもまとめて発表するとしている。10人以上が感染している可能性がある。


 新潟県の発表によると、10代男性は8月20日、代々木公園周辺を歩いていて蚊に刺され、24日に発熱や発疹などの症状が出て同県新発田市の病院に入院した。重い症状はみられなかった。


 一方、横浜市保健所によると、男子大学生は8月18日に友人と代々木公園に出掛けて蚊に刺され、25日に発症。女子高生は16~18日に代々木公園付近に滞在し、23日に発症した。2人の症状も頭痛や発熱で、29日から横浜市内で入院。大学生は退院した。


 デング熱をめぐっては、既に埼玉県と東京都の10代から20代の男女3人の感染が確認されている。いずれも代々木公園でデングウイルスを保有する蚊に刺されて感染した可能性が高いとみられている。

 なぜ代々木公園なのか。イベント関係者は「代々木公園では7、8月、ブラジルフェスティバル、タイフェア、アセアンフェスティバル、カリブ中南米フェスティバルなど、大きなイベントが行われてきた。デング熱は東南アジアや中南米で流行しているが、イベントでダンスや歌を披露したのは本場から呼んだ人。デング熱流行地域から多くの人が集まっていた」と指摘する。


 感染しつつも症状が軽かった本場のダンサーなどが来日し、その血を吸った蚊が広めたのかもしれない。蚊の行動範囲は半径数百メートルとされ、人が多く集まる場所でいえば、代々木第一体育館や明治神宮にいる蚊にも注意しなければならない。


 また、タレントの感染が騒動になりそうだ。芸能関係者は「代々木公園では多くの番組ロケが行われ、8月中旬にロケをした女性タレントたちが当日のブログでロケをしたことや蚊に刺されたことを書き、下旬に高熱が出たことを書いているんです。騒動になるのを恐れ、ブログを削除しているタレントもいる」と語る。


 医療関係者は「1匹の蚊は数週間の寿命で死ぬまでに平均4、5回刺すといわれてます。感染した人を刺した蚊が、ほかの人を刺して感染させた可能性もある。そして、今回のように注目される前は、デング熱でも重いカゼとしかとらえない患者と医者もいたでしょう。実はかなりの感染者がいるかもしれません」と指摘する。