難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者への寄付を募る「アイス・バケツ・チャレンジ」の指名を安倍晋三首相(59)が現時点でスルーしている。指名された人は100ドル(約1万円)をALS協会に寄付するか、氷水を頭からかぶるかを指名から24時間以内に選択する。みんなの党の浅尾慶一郎代表(50)が22日に安倍首相を指名したが、24日になっても動きがない。同チャレンジには賛否両論。子を持つ親からは「子供のいじめにつながるんじゃないか」と不安の声も漏れる。
同チャレンジが話題になってから、永田町ではいつ安倍首相に指名がくるかと注目された。野党秘書は「知り合いも氷水をかぶった動画をアップしていました。どうやら指名の際に『どうにか安倍首相につなげたいんだけど』と言う人もいるみたい。広島の土砂災害があったから、みんな様子見なのでしょう」と話していた。
そんな状況下、首相官邸は24日夜、安倍首相が25日に広島市の土砂災害現場を視察すると発表した。
みんな気を使っていたのに浅尾氏は…。KYだったのは、本紙でもすでに指摘した通り。
風向きも変わっている。ボクシングの元世界3階級制覇王者の亀田興毅(27)から指名された橋下徹大阪市長(45)は23日にツイッターで参加しないことを表明。同チャレンジの趣旨に理解を示しながらも、「僕は行政機関の長でもあるので、今回の運動に直接参加することはやめておきます」と辞退の理由を説明した。
先週初めごろまでにはお祭り騒ぎで拡散した同チャレンジだが、先週後半からは「氷水をかぶって何になるのか」などと冷めた目線も多くなってきた。寄付もして氷水もかぶるというのが“空気が読めている”との評価になっていたが、今や氷水をかぶったらKYと呼ばれかねないほどだ。
子供を持つ40代の母親が言う。「アイス・バケツ・チャレンジって、チャリティーっていう善意の皮をかぶっているとはいえ、要は不幸の手紙ですよね。届いた人は何日以内に何人に手紙を送らなきゃいけないみたいな。有名人が喜々としてやっているのを見ても、どうかと思うのですが、子供たちの間で、はやるようになったらどうするんでしょう。いじめにつながるんじゃないかと心配です」
同チャレンジの指名は3人までできることになっているが、たいていは事前連絡しているから問題は起きない。ところが、最近は突然指名されるケースも増えてきている。氷水をかぶってもかぶらなくても批判されかねない現状を考えれば、指名は避けたいところ。ましてや、子供たちなら、なおさらKYと言われるのを嫌がる。
「クラスで仲間外れにされている子やいじめられている子をわざと指名して、かぶったら笑いものにして、かぶらなかったらそれで責めてって、もう想像がつくじゃないですか。誰か大御所が『指名はしない』と宣言して、流れを作ってくれるといいんですが」(前出の母親)
次の指名を拒否した人はいる。ゴールデンボンバーの鬼龍院翔(30)は「僕は氷水はかぶりません。すいません」と、氷水ではなく墨汁をかぶり、指名はしなかった。俳優の金城武(40)も水をかぶったが指名なし。おおむね高評価を受けており、参考にする人も出てきそうだ。
安倍首相が何を考えて指名をスルーしたのかは不明。永田町関係者は「政治家はやっちゃ駄目ですよ。これはわなだと思う。やったら皆さん批判するんでしょう?」と指摘。バケツ騒動はいつまで続くのだろうか。