コミケ3日間で55万人 工場写真集や製麺機の本も

2014年08月19日 11時00分

製麺機について書かれた「趣味の製麺」。用意した100部が取材時には4部になっていた

 夏の超人気イベント「コミックマーケット86」が17日まで東京・江東区の東京ビッグサイトで行われ、3日間で約55万人を集める盛況に終わった。コミケといえば「漫画、アニメ、ゲーム」だけだと思っている人も多いだろうが、このところ出展サークルの多様化が進み、驚くほど幅広いジャンルの出展者がいる。コミケの多様化と人気の背景とは?

 


 会場では、今や定着した“工場観賞”の先駆者、大山顕氏が工場と高速道路のジャンクションの写真集を販売していた。隣で販売しているのは高層ビルの写真集だ。周囲を見渡すと、多摩ニュータウン、岩、痛車、廃虚、ショッピングモール、エスカレーターなど様々な写真集。そして製麺機の本、廃村の研究本、道の駅の本、さらには伊豆の珍スポット紹介本…。実に多彩だ。


 伊豆の珍スポ本を販売していた八画文化会館の石川春菜氏によれば「うちは8年前から参加し、当初は秘宝館の本を売ってました。この3~4年、酷道などニッチなジャンルが増えてますね」と感じているという。実際、コミケ運営サイドの関係者によれば、こうした流れは廃虚ブーム、工場萌えブーム以降に始まり「およそ10年前からじわじわ増え、この3~4年は特に多様化が進んでいます」という。


 多様化する背景のひとつはSNSなどで“レアな趣味”の人同士がつながって協力しやすくなったこと。またパソコンソフトを使って本を作りやすくなったこともある。横須賀の軍艦の写真集を売っていた人は「ブログ、ツイッターで写真を出し、その反応に背中を押された」と話していた。
 2011年から出展している大山氏は「電子書籍の話題が大きくなったとき、出版社、編集者、流通抜き、という話があったけど、それってすでにコミケが大きなマーケットでやってるんです」と指摘する。


 大山氏は「電子書籍は小説と漫画ばかりで写真集が抜けているんです。一度コミケで自主制作を経験しようと思って」参加したという。


「驚いたのが、出版社から写真集を出すより実入りが良かったこと。といっても倍とかまでいかないですが。在庫のリスクは自分で取らなければいけないし、何千部という単位ではないので、多くの人に見てもらうことはできません。それよりもコミケでは、ツイッターでやりとりした人と会え、会話ができるのが楽しい。会場は暑いし、立ちっ放し。それを上回る楽しいことがあるから続けられるんですよ。SNS以降のコミケはそれまでとは違う感動があると思う」


 コミケは新たな魅力を取り込んで進化していた。