食品偽装判明でも中国のマックに行列のワケ

2014年08月16日 09時00分

 中国の食品加工会社「上海福喜食品」が、チキンナゲットに使用期限切れの鶏肉を使っていた事実が発覚してから約3週間。マクドナルドを巻き込んだ食品衛生スキャンダルは、世界各国に衝撃を与えた。その中国で今、なんとマクドナルドに長蛇の列ができる珍現象が起きている。危険な食品偽装が発覚したというのに一体なぜ? その背景を探ってみると“中国ならでは”のおぞましすぎる食肉偽装事情があった!

 世界を震撼させた期限切れ鶏肉騒動も、中国ではとらえられ方が違った。中国の食品製造の現場に詳しいジャーナリスト程健軍氏はこう語る。

「中国庶民にとって『マクドナルドが100%本物の肉を使っていた』と判明した衝撃の方が大きかったのです。えたいの知れない肉でも『ウマくて死ななきゃいい』と思っていますから、期限切れや、床に落とした程度なら、問題ありませんよ」

 にわかには信じられない話だ。だが、そもそも中国では庶民が日常的に口にする肉といえば「混合肉」と呼ばれるビニールチューブ袋詰め肉。羊肉をメーンに鶏肉などが混じっていることになっているが、消費者も「いろいろ混ざっているんだろうな」と覚悟した上で食べているという状況だ。

「その混合肉は、まさに“肉の福袋”で、何が入っているか、分からないんです。中国庶民は羊肉が大好きですが、価格を抑えながら量を増やし、味にパンチを利かせるために、各店がさまざまな肉を勝手にブレンドして売っています」(同)

 例えば、夏には犬肉を加えたスタミナブレンド、冬にはヤギ肉を増やしたかみごたえ抜群ブレンド。このあたりは“表示偽装”ではあるものの、食べられる肉なので、中国庶民は許容している。

 しかし、食用不適格の肉による偽装はより深刻だ。中国庶民にとって一番身近な肉料理は、街の屋台で売られている羊の串焼き。長さ30センチほどの串に羊肉をたっぷり刺した“中国版ファストフード”で、安いものでは1本2元(約33円)という激安ぶりだ。


「多くの人は『絶対、何かほかの肉だよな』と思いながら、食べているんです。これらの肉は、実はネコやネズミのケースも多いといわれているんです」(程氏)

 ネコやネズミの肉が使われているという話は有名で、昨年、安徽省の安徽大学で生物科学を専攻する大学生が卒業論文のテーマとして羊の串焼きのDNA鑑定を行い、サンプルの約8割に羊以外のDNAが確認されたと公表。

 中国メディアで大々的に報道された。羊肉のDNAが示されたのは全体でわずか19・7%だった。69%はブタ肉で、残りからはネコ、ネズミなどのDNAも検出されたという。

 ネコやネズミの肉は本来、羊とは似ても似つかない味のはずだが「これを羊の尿に2時間ほど漬け込んでから、そのまま尿ごと低温でコトコト煮込み、さらに羊の油と精油を擦り込んで一晩、熟成させれば、味も臭いも見分けのつかない“羊肉風味の肉”のできあがりなんです」(程氏)。

 自分が食べなければ、どうでもいいという中国人の考え方なのだろうが、さらに先がある。

「材料となるネズミやネコを捕まえる際、安易に殺鼠剤を使っている場合が多いんです。そんな肉の串焼きで命を落とす人もいるくらい。日本人が中国旅行する際に気になるなら、激安食堂や激安屋台を避けるべきでしょう」(程氏)

 毒入り小便煮込みネズミ肉…もはや、どう考えても食べ物ではない。程氏は「もちろん、すべての肉が偽装というわけではない。でも、こんなものが横行するなかで、本物の肉を使っていることが証明されたマクドナルドに人気が集まったのも当然だと思います」とため息をついた。