中国広東省広州市の動物園「長隆(ちょうりゅう)サファリパーク」で先月29日、飼育しているジャイアントパンダ「菊笑(きくしょう)」が3つ子を出産。現在、母子ともに健康であることも12日に発表された。2週間たったいまも3つ子が元気で育つのは「奇跡」とも言われているが、日本で3つ子パンダが生まれる日は来るのだろうか。

 3つ子のパンダは現在、うっすらと白黒模様が浮かんでくるなど、すでに愛らしさをふりまいているようだ。現地メディアによると、中国の繁殖施設で3つ子が生まれたケースは過去にも数例あるが、数日で死んだりして、3頭とも順調に育った例はないそうだ。

 ジャイアントパンダが日本一多いことで知られる「アドベンチャーワールド」(和歌山県白浜町)でも11日に、同施設で生まれた双子の兄妹「海浜」(かいひん、オス)と「陽浜」(ようひん、メス)の4歳の誕生日会が開かれたが、広報担当者も中国の3つ子パンダには驚きを隠せない。

「パンダの3つ子が無事に生まれたのは今回を含めて、過去に3例だけ。4つ子や5つ子などが生まれた例は確認されていません」

 そもそも3つ子の誕生そのものがすごいことだというが、双子のパンダが誕生するというのは決して珍しいことではないとも。「生まれてくる子が1頭の場合が55%、双子の場合が44%です」(同)

 4割以上の確率で双子が生まれるのだから、育てるお母さんは大変だが、パンダの世界では、母親が一方の子に注意を向けると、もう一方の子の世話をおろそかにしてしまうことがあるそうだ。「ですので、母親が片方の子にお乳をあげ終わったら、飼育員のほうでその子をもう1頭の子と取り替えて、順番にお乳をあげることがあります」(同)

 もちろん、人の手で育てることもできるが、実の母親に育てられることがベストだろう。「亡くなりましたが、うちの梅梅(めいめい)は7頭の子を上手に育てた良い母親でしたよ」(同)

 同施設では良浜(らうひん)が現在妊娠中で、順調にいけば年内に出産の予定だ。日本初の3つ子誕生になれば、ビッグニュース決定であるが「期待しますが、こればかりはね(笑い)」(同)。

 3つ子パンダを授かった「長隆サファリパーク」では、性別当てクイズや名前の公募を開始して、客の期待感を盛り上げている。集客の倍増を見込んですでにホクホク顔だろう。公開時期は未定だが、文字通りに“客寄せパンダ”になること間違いなしだ。