佐藤優氏 対米強硬路線で新たな危機的状況生み出す北朝鮮「日本は積極的な働きかけを」

2021年04月05日 16時00分

佐藤優氏

【マンデー激論】北朝鮮が米国への対決姿勢を強めている。3月25日朝、北朝鮮が弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射した。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射は2020年3月29日以来で、バイデン氏が米大統領に就任した後、初めてのことだ。北朝鮮政府が事実上運営するウエブサイト「ネナラ」(朝鮮語で“わが国”の意味)は本件についてこう報じた。

<新しく開発した新型戦術誘導弾は、すでに開発された新型戦術ミサイルの核心技術を利用して弾頭の重量を2・5トンに改良した兵器システムである。/試射を行った2基の新型戦術誘導弾は、朝鮮東海上600キロ水域の設定されたターゲットを正確に打撃した>(3月26日「ネナラ」日本語版)

 2・5トンの弾頭を搭載する能力のあるミサイルならば核爆弾を装填することも可能だ。金正恩・朝鮮労働党総書記は、バイデン大統領に北朝鮮との対話再開の可能性がないことを認識しているのだろう。

 3月末にクレムリン(ロシア大統領府)から筆者はこんな情報を得た。

<3月半ばに平壌で行われた金正恩氏が出席した高官会議では、対米強硬路線の採用が決められ、米国を窮地に追い込むこと、北朝鮮の国益を完全に認めるまで対話復帰はあり得ないことが確認された。北朝鮮の選択は、軍事力の誇示、そして、新しい危機的状況を生み出すこととなる。この会議では、ミサイル・核プログラムの再開が決定された>

 北朝鮮が核実験と長距離弾道ミサイル発射に踏み切れば、北東アジア情勢が再び緊張する。クレムリンは事態が一層深刻になる可能性も排除されないと考えている。

 日本政府も北朝鮮情勢が緊張する可能性を念頭に置いて、対策を取り始めた。2日、米東部メリーランド州アナポリスで、北村滋・国家安全保障局長、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)、韓国の徐薫・国家安保室長が協議した。

<北朝鮮の核・弾道ミサイル計画への懸念を共有し、3カ国が一致協力して非核化をめざすと確認。国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議の完全履行の必要性で一致した>(3日「日本経済新聞」電子版)。

 北村氏の前職は内閣情報官で、米国、英国、フランス、ドイツ、イスラエルのインテリジェンス機関はもとより中国やロシアの政権中枢に人脈を持っている。北村氏のネットワークを最大限に活用して、正確な情報を収集するとともに、北朝鮮の暴発を避けるための働きかけを日本が積極的に進めていくべきと思う。

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