大量発生した蛾を駆除する秘策は“ハニートラップ”

2014年08月03日 10時00分

 日本各地で蛾(が)が大量発生して、住民を困らせている。自治体はあの手この手で対策を講じようとするが、決定的な方法はないまま大切な樹木を荒らされるなど頭を抱えるばかり。そんな中、蛾のフェロモンを利用した「ハニートラップ」にかけるという秘策があった。

 山形県米沢市では全域でマイマイガが大量発生している。春には幼虫が樹木を食い荒らし、初夏には羽化した蛾の軍団が空に舞う。他の種も含めた蛾は北海道、岐阜など各地をすでに侵攻中。自治体は誘蛾灯や殺虫剤で駆除を目指しているが、誘蛾灯は効果範囲が狭く、殺虫剤は人間にも生態系にも影響を及ぼしかねない。かといって放置すれば被害も甚大だ。

 憎き相手を倒す秘策として「超発明株式会社」取締役で農学博士の中薗豊氏は「フェロモンを使えばよろしい」と提案する。中薗氏は以前、マイマイガのフェロモンを実験室で作製した後の帰宅中、大量のマイマイガに体中を覆われ実験の成功を身をもって体験した。

 雌の蛾が出すセックスフェロモンは雄を呼び寄せる。その習性を駆除に利用するのだ。方法は2つ。1つは「誘引捕殺」だ。虫かごなどのトラップに人工フェロモンを入れておいて、引き寄せられた蛾を殺す。2つ目は、広範囲にフェロモンを撒き散らす「交信かく乱」だ。中薗氏は「そのエリアに殺到した雄はそこらじゅうに美女がいるような気持ちになる」と話す。だが、雄はヤル気マンマンでも、本物の雌とは出会えないまま寿命を迎えるという寸法だ。

 フェロモンのメリットは、人体に影響がないこと。そして、蛾に耐性が生まれないことだ。殺虫剤で駆除しようとすると、翌年には耐性を持つ害虫が現れることがある。

 そんなフェロモンが駆除の主流方法にならないのは、殺虫剤が様々な害虫に効果があるのに対して、フェロモンは特定の害虫にしか効かないからだ。「売れないから採算がとれない。儲からないのだから企業が作ろうとしない」(中薗氏)
 強い心意気を持つ企業が一肌脱いでくれないだろうか。