台湾南部・高雄を出発したトランスアジア航空のプロペラ機が23日夜、リゾート地・澎湖島の馬公空港への着陸に失敗し墜落した事故をめぐり、風速や風向きが急激に変化する現象「ウインドシア」が原因という説が挙がっている。

 ベテランパイロットも恐れる風の特異な現象で、台湾交通部民用航空局の前局長が推測したもの。事故機は2000年6月に納入され、すでに14年が経過。新型機の導入で、3年以内にお役御免になる予定だったことも分かった。

 大型台風が上陸すると、台湾全土は会社や学校、行政機関が休みになる。台湾はそんな“台風休日”が「年3~4回はある」(地元民)という台風銀座。台風10号が直撃した23日もその休日だった。しかし、この日は「多くの便が欠航にならず、出発は遅れたけど、馬公に飛んだ」(同)という。

 台湾の西約50キロに位置する澎湖島は、大小90の島からなる群島。「外国人はほとんどいない、台湾人向けの夏の観光地。リゾート開発もしてないから、観光スポットも宿も食べ物もみんな素朴」とは先月旅行した日本人男性(43)だ。その時も台風の影響で現地は悪天候。男性は、台湾人のたくましさに驚いたという。

「雨風が強かろうが、本土からのツアー客は雨がっぱを着てスクーターで観光する。馬公本島と離島を往復する小型ボートも欠航せず、雨がっぱ姿の観光客を運んでました。もちろん、台北からの行きも帰りの便も欠航なし。台湾人って台風には強いんです」

 台風には慣れっこだった台湾人の油断が事故につながったようだ。