この夏、ひと味変わった展示「トイレ? 行っトイレ! ボクらのうんちと地球のみらい」(日本科学未来館で10月5日まで)が人気だ。テーマはずばりトイレとうんちだ。

 会場は女性客の姿が目に付く。「親子連れとカップルが多い。女性が6割」(広報)。19~21日の3連休だけで1万人以上が訪れた。CNNとロイターに報じられた効果で外国人も来館している。

 展示内容はショッキング。「うんちのニオイ」を嗅げるのだが、鼻先にニオイを近づけて顔をしかめる男性客の姿が…。うんちの硬さの状態を示す国際基準「ブリストルスケール」の存在など、初めて知ることばかり。

 極めつきは巨大洋式トイレの滑り台だ。うんち帽子をかぶった自分が下水道に流されていくのは不思議な体験だ。

 待ち時間60分でも、笑顔の“うんち”たちがトイレに行列を作っている。

 学校で排便できずに便秘になる子供が半数もいるという調査結果がある。「展示を通じて、トイレのことを語り合うのは恥ずかしくないと思ってほしい」(同)

 直近のうんちを工作するワークショップも開催。“体からのお便り”を振り返ることで、健康状態を気遣う機運の高まりが期待される。「長く付き合ったカップルでも、互いのうんちは知らない。体調が分かれば、さらに深く理解し合える」(同)。ラブラブにもなれるのだから、うんち恐るべし。

 世界では25億人がトイレを使えないなど、マジメなテーマも扱っている。東日本大震災では地震発生から9時間以内に78%の人がトイレに行きたくなったという結果も出た。トイレを失って初めて、自由に排せつできるありがたみに気づくのだ。

 開催にあたって、「うんち」と呼ぶか、「うんこ」と呼ぶかの激論も交わされた。「かわいい感じ」のうんちに軍配が上がったそうだ。

 なお、うんち帽子の商品化を望む声が届いていて、実現に向けて検討されている。