ベネッセコーポレーションの顧客情報漏えい問題で警視庁は17日、顧客データベースを管理していた外部業者の元派遣社員のシステムエンジニア(SE)松崎正臣容疑者(39=東京都府中市)を不正競争防止法違反容疑で逮捕した。

 情報の横流しで利益を得た松崎容疑者は今後、実刑判決に加え、40億~50億円になるともみられる損害賠償訴訟が待っている。一方、ベネッセの企業体質も問題になりそうだ。

 ある元社員は「専用タブレット端末による通信教育を始めたとき、サービス開始日に通信がパンクした。サービスは午前0時にスタート。会社は『深夜に子供がたくさんアクセスするはずがない』と予想していたが、実際は違った。情報管理に対する考えが甘過ぎる」と話す。個人情報の管理のずさんさは本紙既報通りだ。

 ベネッセは信頼回復を目指し、顧客に200億円をかけた補償を検討するが、信頼を取り戻すための秘策があるという。それは、ジェームズ・ボンドで有名なスパイ映画「007」だ。

「007の小説『赤い刺青の男』は日本が舞台で、香川県の直島が登場する。直島にはベネッセの美術館がある。本にはベネッセと、HD最高顧問福武總一郎氏の名前も出てくるのです」と前出の元社員。

 実現こそしなかったが、過去には香川県が映画の誘致に動き、ベネッセも協力した。数年前に、同社のOB会で福武氏は「映画にはOBやOGにも出演してもらう。ただ、OGはボンドガールにはなれませんよ。いや、映画ができるころにはOGは死体になっているでしょう」とジョークを交えてあいさつしたという。

 だが実現すれば、1967年公開の「007は二度死ぬ」以来の日本ロケ作品となり、大きな話題になるのは必至。

「窮地の今、原田泳幸新会長がやってのけたら、ベネッセの“株”は復活する。マクドナルド時代に育てた海外とのパイプで、ハリウッドと交渉してほしい」(同)

 情報を流出させたスパイに奪われた信用は、スパイ映画で取り戻せる!?