リスクもはらむ緊急事態宣言解除…コロナ収束のために専門家が考える一番大切なこと

2021年03月19日 11時30分

菅首相は検査を強化する考えを示した

 東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県で続く緊急事態宣言が、期限となる21日をもって解除されることになった。政府が新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で18日に決定。目安とされていた1日の新規感染者数2桁は達成されないまま、むしろリバウンド傾向にある中での宣言解除となった。政府は、国民の自粛疲れや宣言の効力を失うことを懸念し解除する決断に至ったというが、今後はどうなるのか。専門家は、収束させるためには検査が大切だと訴える。

 18日、国内で新たに1499人の新型コロナウイルス感染者が新たに確認された。緊急事態宣言の解除が決まった首都圏では、東京323人、神奈川160人、千葉122人、埼玉115人。前日との比較では、東京と埼玉は減少したが、千葉と神奈川は増加した。

 対策本部の会合で菅義偉首相は、解除理由について、新規感染者数が8割以上減少し、病床使用率も改善したことを挙げた。記者会見では「感染者数はリバウンド(再拡大)が懸念されている。変異株にも警戒する必要がある」と述べ、検査を強化する考えを示した。4都県では午後9時までの飲食店の時短が続くとして、1日4万円の支援を行うとも表明した。

 1月8日の発効から2回延長され、2か月半でようやく解除される4都県への緊急事態宣言。この間、新規感染者数は減少した半面、途中で減少スピードが鈍化したり、再び増加し始めるなど、感染者の増加を抑え込むことはできなかった。

 そうした中での緊急事態宣言解除に、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広氏はこう指摘する。

「世界中で感染者が増え始めている時期でもあるため、いま解除することは感染リスクを高めることになる。コロナは夏と冬に流行する傾向にある。そのため、今から夏にかけて増加していくことが予想される。実際に現在、真夏のブラジルでは変異株が流行している。緊急事態宣言を解除してもしなくても夏場に再び流行するが、この時期に解除するとさらにそのリスクが高くなる」

 新型コロナの感染者数を減少させるためには、検査数を増やすことが重要だという。

「世界では今、変異株の検査に力を入れており、徹底した検査体制で無症状の感染者を見つけて隔離させている。特に、変異株は感染率と致死率が高い。日本は検査体制が非常に脆弱なので、まずは検査体制の拡充が必要。若者など無症状の感染者が周囲にうつす。緊急事態宣言を行うよりも、検査することによって自分が感染していると分かれば自らの行動を抑制するはず。だから、検査体制を強化することが一番大事なんです」

 だが、日本では周囲の偏見や感染者へのマイナスイメージなどから、検査を受けにくい現状があるのも事実だ。

 上氏は「アメリカではコロナに感染しても、まったく差別されない。日本の場合は“コロナになったのは自粛中に居酒屋で夜まで飲んでるヤツが悪い”などといったマイナスイメージが植え付けられてしまったために、感染者に悪いレッテルが貼られてしまう。そうではなく、感染者に対して同情するような発想にならなくてはいけない。周囲にうつさないために検査を受ける、検査を受けることは何も問題ではないという考え方に変えていかなければいけない」と指摘する。

 まずは、新型コロナに対する意識改革を行うことが重要となりそうだ。