判決取り消しも…「知らぬ間に敗訴、賠償金支払い命令」防ぎようのない手口

2021年03月17日 11時30分

知らない間に…(写真は東京地裁)

 知らない間に元従業員に裁判で負け、不当に預金を差し押さえられたとして、福岡県久留米市の飲食店経営の女性が、敗訴判決の取り消しを求めた再審の判決で、久留米簡裁が女性の請求を認め、122万円の支払いを命じる判決を取り消していたことが16日、分かった。15日付。

 再審判決などによると、元従業員の男性は以前、女性の店で勤務。2019年、未払い賃金があるとして久留米簡裁に提訴した。男性は、訴状の女性の住所に無関係の場所を記載。女性が提訴を知らないまま裁判が始まり、簡裁は昨年1月、男性の請求通りに賠償を命じた。銀行預金が差し押さえられ、引き落とされたことに女性が気付いたのは昨年夏ごろという。久留米簡裁では15日、別の飲食店経営の女性が男性を相手取った再審の判決もあり、簡裁は、支払いを命じた元の判決を取り消した。

 大分市の女性が、熊本簡裁の敗訴判決を不服として起こした大分地裁での訴訟の資料などからは、男性が、記載した女性の虚偽住所を「夜に電気がつき、住んでいると考えられる」とする報告書を提出していたことが判明している。熊本簡裁はこれを受け、発送時点で届いたとみなせる「書留郵便に付する送達」で、訴状を同じ住所に送って審理を始めていた。

 それにしても、知らない間に訴えられ、賠償金を支払うはめになるとは恐ろしい。なぜ、こんなことが起こりえるのか。

 法曹関係者は「民事では被告が欠席すると、裁判所は原告の賠償請求を認めます。被告本人が出廷しない場合、裁判所は原告に被告の居所の調査を命じます。原告が調査報告書に、虚偽の被告の家やマンションの写真を添付して状況を報告したら、裁判所の書記官等もその裏取り調査までは手が回りませんから、形式的に認めてしまうのです。しかも、確定判決をもらえば、その賠償金は10年間有効で、差し押さえも可能です」と指摘している。

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