号泣県議こと兵庫県の野々村竜太郎県会議員(47=無所属)が8日、出席せねばならない総務委員会の14、15、18日の日程を欠席することがわかった。号泣会見で世界的に有名になった同議員だけに、本紙既報のTシャツなど便乗商法も相次ぎそうな雲行き。あの“政治家お菓子”で有名なメーカーもバッチリ構想を練っていたものの、ここにきて完全に製造・販売を諦めたという。その理由を社長自らが明かした。

 兵庫県議会事務局は8日「野々村氏が所属する総務委員会の公務日程のうち14、15日の管内調査と、18日の常任委員会を欠席する」と発表した。同氏は欠席の意向をメールで伝えてきたが、理由は不明。欠席には委員長宛ての届け出が必要で、7日に担当者が野々村氏にメールで提出を求めたが、返事はないという。

 これでは“給料泥棒”と批判が上がる可能性もあるが、報道陣に対して雲隠れが続く野々村氏への注目は日に日に高まっている。インターネット上には同氏をパロった動画などもあふれ、号泣Tシャツも登場している。

 だが、名物お菓子メーカーもさじを投げてしまった。安倍晋三首相(59)の「アベノミックス饅頭 新しい晋ちゃんまんじゅう」や、麻生太郎財務相(73)のイラストがパッケージの「太郎ちゃんの牛乳カステラ」などを販売する「大藤」(東京・荒川区)だ。野々村氏は城崎温泉などに年間195回も日帰り出張をしたとして、政務活動費300万円を支出。

 1日に行った釈明会見では説明責任を全く果たさず「この、うわぁぁぁぁあ~、世の中うぉ~、変えたいぃぃぃい、一心でぇええええ~」と号泣&わめき散らした。そのニュース映像は政治史に残る衝撃の“珍事”になった。

 これを大藤の大久保俊男社長が見逃すはずもなく、いったんは「即、考えて、すぐに商品を思いついた」という。

「59の焼き印を押した『号泣まんじゅう』とかですね。パッケージには、もちろん口を大きく開けて泣いている野々村県議のイラスト。一応、大阪や神戸に問屋はあるから販路はある。(販路は)城崎にもあるから『領収書の出ない日帰り出張まんじゅう』とかも考えた」(大久保社長)

 だが結局は諦めたという。抜群の知名度となった野々村氏だが、あまりにイメージが悪すぎるという判断だ。

 大久保社長は「今まで人の不幸をキャラにしたことはない。兵庫県民からすると『なぜ、こんな者を使って金儲けをするんだ』となってしまいます。一部の人にはウケるかもしれないが、倫理の問題。喜んでもらえない。お土産にしても誰に持っていくんだ?となってしまう」と語る。兵庫県民の恥の象徴となるお土産など、商品価値もないというのだ。

 一方、この日は野々村氏が代表を務める政治団体が、同県西宮市の野々村氏の自宅を県選挙管理委員会に事務所として届け出ていたことが発覚。自宅は都市再生機構(UR)が管理しており、居住用として野々村氏と契約しているため、事務所としての使用は契約違反にあたる。URの西日本支社も「目的外使用の可能性がある」としている。

 事務所は当初から野々村氏宅に置かれ、事務所費として100万円が計上されている。政治団体の名前は「西宮維新の会」から「西宮希望の女神」を経て変更した「地域政党最後の希望」。この状況では、希望とは名ばかりになっている。