米航空宇宙局(NASA)は18日午後(日本時間19日午前)、探査車「パーシビアランス」が火星に着陸したと発表した。最高約1300度の高温にさらされるなど危険が多いが、大気圏突入から着陸までの「恐怖の7分間」を無事くぐり抜けた。火星で生命の痕跡を探す使命を果たすことが期待されている。

「タッチダウン・コンファームド」。NASAはツイッターで着陸の確認を伝え、「#カウントダウン・トゥー・マースは完遂された。しかし、ミッションの始まりにすぎない」と続けた。

 数十億年前の火星は温暖で液体の水があり、微生物が生きられる環境だったと考えられている。かつて地球外に生命が存在したことが確認されれば、生命誕生の謎に迫る手掛かりが得られる。

 探査車の大きさは小型車ほどで重さは約1トン。母船とともにカプセルに入った状態で、秒速5キロ超の猛スピードで火星の大気圏に突入。パラシュートを開いて減速した後にカプセルを離れ、母船はエンジンを逆噴射して降下し、ひもでつながった探査車を下ろす計画だ。

 探査対象は北半球にある直径45キロのクレーター。流水で土砂が堆積したような地形から、35億年前は湖だったとみられている。かつて微生物が存在したとすれば、その痕跡となる生命関係の分子を土壌から見つけやすい場所とされている。

 将来、別の探査機で地球に持ち帰るため、ドリルで掘削した土壌を筒状の容器に密封して火星の地表に残すことも計画。

 火星を巡っては各国の50近い計画で探査機が打ち上げられたが失敗も多い。日本は1998年に探査機「のぞみ」を打ち上げたが、故障が重なり火星を周回する軌道への投入を断念した。米国は周回軌道からの観測に加え、8基が着陸とその後の探査に成功している。

 今月には、アラブ首長国連邦(UAE)の探査機「HOPE」と中国の探査機「天問1号」が火星周回軌道に入った。