狙いは大統領復帰? 大統領選が不正だったとして支持者たちの米連邦議会議事堂襲撃を扇動したとされたトランプ前大統領(74)の弾劾裁判は13日(日本時間14日)、上院で無罪評決が下された。

 有罪57票、無罪43票――。上院で行われた弾劾裁判の評決は弾劾に必要な3分の2以上の有罪票は集まらず、トランプ氏は晴れて〝無罪放免〟となった。

 もともと、法的有効性が疑われた弾劾裁判だった。トランプ弁護団は大統領を退任した〝私人〟であるトランプ氏が弾劾裁判にかけられること自体が違憲だと主張。弾劾裁判を行うにあたって事前に上院で「違憲ではない」との採決が行われたが、もともと法律家の間でも合憲か違憲か判断は割れていたのは事実だ。

「トランプ氏と敵対するペロシ下院議長の意向もあって、下院で過半数を持つ民主党が押し切り弾劾訴追を強行。民主党と共和党が50議席ずつを分け合っている上院で弾劾が可決されるには有罪票が67票必要だったが、共和党を切り崩すことができないまま無罪が確定。これには民主党支持者の間でも、ただの〝政治ショー〟という冷めた見方が出ている」(在米ジャーナリスト)

 そんななか、無罪評決を受けてトランプ氏はフロリダに構える〝トランプ事務所〟を通じて声明を発表。弾劾裁判について「米国史上最大の魔女狩りだ!」として、民主党による嫌がらせだと主張し、さらに「米国を再び偉大な国にする歴史的で愛国的な運動は始まったばかりだ。米国の偉大さを達成する素晴らしい旅を全国民と共有し続けることを楽しみにしている」と、事実上の政治活動再開を宣言した。

 見据えるのは24年に行われる大統領選挙への出馬だ。

「現状、共和党は24年の大統領選挙に向けた目玉候補がいない。大統領選で7500万票を得たトランプ氏を無視できない状況」(同)

 晴れて弾劾裁判で無罪となったトランプ氏から、ますます目が離せなくなってきた。