平壌高層住宅崩壊で異例の対応の背景

2014年05月21日 16時00分

 北朝鮮の平壌で、13日に建設中のマンションが手抜き工事で崩壊する事故が起きて、朝鮮中央通信は多数の死者が出たと報じた。報道は事故発生から5日経過していたとはいえ、同国メディアが国内での事故を報じたのは極めて異例のことだ。


 崩壊した23階建てのマンションはすでに入居が始まっていたために多くの犠牲者が出たようだ。しかも、17日には警察トップの崔富一(チェ・ブイル)人民保安部長や行政・朝鮮労働党幹部らが現場を訪問し、遺族や地域住民らに謝罪するという当局の対応まで明かしているから実に珍しい。


 平壌情勢に詳しい関係者は「北朝鮮は建設ラッシュが続いています。昨年、正恩氏の指令で10年かかる馬息嶺スキー場の工事を1年で完成させてオープンさせた。これを見本に全国各地で突貫工事が行われている最中に崩落事故が起きた。実は事故の直前にとんでもない騒動が起きていたと聞いています」と話した。


 とんでもない騒動とは「金正恩第1書記の祖母にあたる金正淑(キム・ジョンスク)氏の銅像が爆破されそうになった」ことだという。


 高層住宅崩壊の事故直前、北朝鮮北部の咸鏡北道会寧(フェリョン)市で何者かが、正淑氏の大型銅像の背後に時限爆弾を仕掛けた。警備中の兵士が爆弾を見つけ未遂に終わらせたが、同市は地元警察によって封鎖され、住民は身分証の確認が求められるなど厳戒態勢が敷かれたという。


 正淑氏は金日成主席の妻で金正日総書記の実母。なぜ正恩氏の祖母にあたる正淑氏の銅像が狙われる騒動が起きたのか。


「時限爆弾などは人民軍の関係者にしか調達できない。軍の何者かがテロを起こそうとしたことは、今の正恩氏が安泰ではない証拠です。正恩氏の指示で当局者に高層住宅崩壊事故で亡くなったエリート層の遺族に謝罪した背景には『次は自分が狙われる』との恐怖があったからでしょう」と前出の関係者は指摘した。


 爆弾テロ騒動がなければ、マンション崩壊報道は、なかったということのようだ。