休載でも止まらぬ逆風「美味しんぼ」雁屋氏の反論どうなる?

2014年05月20日 11時00分

美味しんぼが休載

 連載は一区切りでも、騒動は終わらない。東京電力福島第1原発を訪れた主人公が鼻血を出すなどの描写が問題視された漫画「美味しんぼ」が、「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の5月19日発売号をもって休載した。識者や作中で言及された当事者らの意見とともに、同誌編集部の見解も掲載。編集部は「ご批判、お叱りは真摯に受け止め、表現のあり方について今一度見直して参ります」と表明した。もっとも、原作者の雁屋哲氏(72)が予告していた反論はこれからだ。

 19日発売号に掲載された「福島の真実」編最終回には、放射能被害を受けた福島県飯舘村から北海道に移住した若者らが登場する。地元民を傷つけるからという理由で、福島に住むことの危険性について言葉を控えることが良識とされることに、「それは偽善だろう」と登場人物が話す場面もあるが、雁屋氏がブログで「鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかもしれない」と予告したような過激な表現は一見、見当たらない。

 それでも、これまでの内容は地元の抗議や世論の批判などを呼び波紋を広げてきた。主人公が鼻血を出す描写に加え、実在する前福島県双葉町長の「(鼻血は)被ばくしたからですよ」という証言。識者による「福島に住んではいけない」との言葉も紹介していた。

 最新号の特集には、双葉町や、がれき処理問題で言及された大阪府・大阪市の抗議文や、京大原子炉実験所の小出裕章助教、医師の肥田舜太郎氏ら16者の意見も掲載されている。放射能と鼻血の関係については「福島県内でそのような高線量の被ばくをする状況はありません」(野口邦和・日大准教授)、「現在までの科学的な知見では立証できないことであっても、可能性がないとは言えません」(小出氏)といった見解が並ぶ。

 同時に美味しんぼが休載になることも公表された。休載は騒動に関係なく決まっていたという。

 福島の取材を続けるフリージャーナリストは「放射能と鼻血が関係あるとはっきり言い切ってしまったのはよくなかった。福島の人を敵に回したと思いますよ。取材したことのある福島の人は怒っていました」と話す。

 このように、休載になろうとも美味しんぼに対する逆風はやみそうにない。また、雁屋氏は4日付のブログで「本格的な反論は、その24が、発行されてからにする」と予告していた。最新号がその24に当たり、編集部の見解とは別に雁屋氏の反論があるはずである。

 出版関係者は「雁屋さんというのは、結構イケイケな性格というんですよ。だからこそ過激なことも書いちゃう。反論の内容次第では火に油を注ぐことになるかもしれない」と指摘する。いったいどんな反論をぶちかますのか――。