男なら誰でも経験がある立ちション。我慢しきれなくなり放尿し、ホッとした途端、いきなり背後から本当の放水が始まったらどうするだろうか。

 人口12億人のインドでは自宅にトイレがない家も多く、立ちションは当たり前。早朝の走る列車からは、田んぼで大勢の人がしゃがみこむ風景さえ普通に見られる。困ったインド政府は、立ちションする人のあまりの多さに罰金制度や罰則で規制しようとしたが、ほとんど効果はなし。

 そこで登場したのが民間団体「クリーン・インディアン」だ。彼らは大きなタンクにホースをつないだ黄色の車をつくり、立ちションしている男に向けて放水する「おしっこタンカー」運動を開始した。

 その勢いは半端じゃない。立っていることもできない強烈さで、男たちはいきなり悲劇のどつぼに落とされる。その模様がネットに配信され、大評判だ。

 あまりの水圧に男たちはその場にうずくまったり、逃げようとしたり。それでも放水は止まらないのだ。放水する団体側の正体は不明で、彼らは仮面をかぶり、顔をさらさない。そんな仮面男に水をぶっかけられ、まだ途中でムスコを持ったままの男がすってんころりんと転ぶ。その姿を見て街ゆく人々は大笑いしている。

 まさに「目には目を」ならぬ「放水には放水を」。この団体の目的は街中のクリーン作戦との噂もあるが、それにしてもあまりに乱暴だ。

「お前らが立ちションをやめれば、俺らも放水はやめる」を旗印に、日夜デリーの街をパトロールしている。

 乱暴で笑える民間運動なのだが、公衆トイレをつくった方がいいのでは、と思うのは日本人だけだろうか。