デタラメ手話男「CM出演」の波紋

2014年05月16日 11時00分

CM出演したジャンティ氏(インターネットから)

 昨年12月に南アフリカで開かれた同国の故ネルソン・マンデラ元大統領の追悼式での“デタラメ手話通訳”で世界中の注目を集めた男性タムサンカ・ジャンティ氏が、インターネットで動画を生中継できるアプリ「ライブレンズ」の広告映像に出演した。ビートたけし本紙客員編集長(67)も東京スポーツ映画大賞と同時開催のエンターテインメント賞で表彰したジャンティ氏が、そのタレント性を発揮。巧みな手の動きのみならず口の動きなども達者なようだが、この映像は話題を呼ぶとともに批判も招いている。

 CM映像では、追悼式と同じスーツ姿のジャンティ氏が「ハ~イ! ネルソン・マンデラ追悼式のタムサンカ・ジャンティです」と自己紹介。その後、CG合成で一つの画面に同氏が2人並ぶ場面に移る。

 向かって左側にいるジャンティ氏は、昨年の追悼式でバラク・オバマ米大統領(52)の通訳で見せた手話らしきものを披露しながら「私はプロの手話通訳です」。向かって右側の同氏は、デタラメな手話をしながら女性のナレーションで「私は手話はしてません」との説明が流れる。ナレーションは心の声らしい。

 さらに手話を続けながら「申し訳ないことをしてしまった」と追悼式にまつわる騒動を謝罪する一方、ナレーションの声は「私、有名。有名人。お金のために働いています」。

 同氏が「この世で最も面白いイベントは生中継だ」と語ると、フライパンが飛んできて、同氏の頭が吹き飛んだり、CMはやりたい放題。白馬の騎士のごとく馬に乗った場面もあり、最後はジャケットを脱いでダンスを踊って終わる。1分18秒のものだ。

 ジャンティ氏はマンデラ氏の追悼式後、通訳を必要とする人たちから、「でたらめだ」と非難を浴びた。なぜ、できもしないのに重要な式典に出たかというと「統合失調症なんです」と説明。昨年12月から南アの精神科病院に入院していた。

 アプリを開発したイスラエルのライブレンズ社は「最悪の生放送をした人間が最適だと思った。2月に病院で面会し、普通だと思ったので、オファーを出した。CM撮影のために、入院している病院から1日だけ引っ張ってきた」と説明した。撮影は数時間で終了。ギャラは非公開だ。

 ジャンティ氏のタレント性には、ビートたけしが騒動直後から注目していた。審査委員長を務める「東京スポーツ映画大賞」と併設の「ビートたけしのエンターテインメント賞」で、昨年の「世界お笑い大賞」として表彰された。今年2月の授賞式は“欠席”したが、会場でたけしは「世界中が笑いました。NHKでやりたいぐらいだよ、これ」と改めて高い評価を与えていた。

 人気お笑いコンビ・爆笑問題もライブでネタにするなど、日本の芸能界で注目度が高かったジャンティ氏。そんな人物を起用したライブレンズ社は“見る目”があったとも言える。

 このCMに対しては批判もあり、米国の聴覚障害者協会が「怒りと失望を感じる」とライブレンズをボイコットすることを呼びかけた。

 もっとも、同社は「統合失調症という障害を持つ人が仕事をして稼ぐことは、道徳的に正しいこと。われわれはジャンティ氏を助けたのです。ハッピーエンドですよ」と反論している。