美味しんぼ騒動の背後でうごめく原発推進派の闇

2014年05月14日 08時30分

“美味しんぼ騒動”が、大阪にも広がった。福島第1原発事故後の放射能汚染を描いた人気連載漫画「美味しんぼ」の「福島の真実」篇に対し、福島県は12日、「風評被害を助長する」と猛反発した。これに震災がれきを受け入れた大阪市の橋下徹市長(44)も同調。ついには生活保護問題で暴れ回ったアノ女性議員までもが“参戦”する異常事態だ。一方では「何も間違ってはいない!」と原発問題に詳しい中部大教授の武田邦彦氏(70)は擁護。しかも騒動の裏には原発推進派の意向があると仰天指摘した。

 最初に問題となったのは、同作を連載する「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)4月28日発売号で、主人公の新聞記者が福島第1原発を取材後、原因不明の鼻血を出す場面。放射能の影響を示唆していることは明らかで、たちまち物議を醸した。

 12日発売号では描写が一層過激に。原発事故当時、福島県双葉町長だった井戸川克隆氏が実名で登場し、福島の住民で鼻血や強い倦怠感を訴える人が出ているのは「被ばくしたから」と明言している。

 さらに別の専門家が、大阪で受け入れた震災がれきを処理する焼却場近くの住民約800人にも同様の症状が出ているとの事例を明かした。

 これに対し、福島県は12日、ホームページ上で「本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず、極めて遺憾」と非難。全県民に健康調査や甲状腺検査などを行い、農林水産物の除染やモニタリング調査を実施していると強調した。大阪市の橋下市長と松井一郎大阪府知事(50)も、連名で小学館に抗議文を送付。
 橋下市長は「フィクションという漫画の世界でも、ちょっとやりすぎ。作者が取材に基づいていると言ってるようなので、事実というなら根拠を示してほしい」と要求する一方で「事実なら大問題。すぐに対応しないといけない」と述べた。

 国も反応した。菅義偉官房長官(65)は12日、「被ばくと鼻血に全く因果関係はない」。石原伸晃環境相(57)も9日に「描写が何を意図し、何を訴えようとしているのか全く理解できない」と不快感を示している。

 また、お笑い芸人の親族の生活保護問題の追及で名を上げた片山さつき参議院議員(55)も、ツイッター上で「週明けに政府内の対応を把握し、疑問をもたれた皆さんにご報告します」と参戦表明。ネット上では「ハイエナ女がまた嗅ぎ付けたぞ」と冷ややかな目で見られているが…。

 一方、同漫画を擁護するのは武田教授だ。

「震災直後からやっている私のブログにも、福島の方から鼻血や倦怠感に襲われるといった報告が数百件も来ている。これは紛れもない事実。科学的根拠? 3・11以降にこうした症状が出ていることが何よりの証明。それまではなかったんだから。阪神・淡路大震災の時はこんなことなかった」

 続けて「大阪も震災がれきを処理した時のデータをすべて開示していない。根拠を出せというが、絡んできたのはそっち。先に『鼻血を出した人はいない』『健康被害はない』という根拠を示せ!」と強調した。

 また、武田氏は騒動の背後にうごめく“大きな力”の存在にも言及。

「原発推進派の安倍政権にとって、今回の問題は不都合なデータでしかない。『本当だったらどうしよう…』とビビッている。だから、漫画の描写一つで過敏に反応した。国は真実を隠蔽しようとしているのではないか」

 小学館広報部は本紙の取材に「19日発売号でこの問題の特集記事を組み、そこで見解を述べさせていただきます。途中で打ち切ることはありません」とコメント。内部関係者は「掲載するにあたり、社内で何度も議論した。主張には正当性があると考えており、謝ることは絶対しない」と話す。

 作者の雁屋哲氏(72)もブログで「福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか」と、一歩も引く気はない。

「どちらが悪い」ではなく、国民全体で議論すべき問題だ。