「鼻血は被ばくしたから」美味しんぼ騒動が拡大

2014年05月12日 16時00分

 東京電力福島第1原発を訪問後に鼻血を出す描写が議論を呼んでいる人気漫画「美味(おい)しんぼ」(雁屋哲・作、花咲アキラ・画)の連載漫画誌の最新号が12日に発売され、福島県双葉町の井戸川克隆前町長が鼻血の原因をめぐり「被ばくしたからですよ」と語る場面があった。この問題では風評被害を呼ぶとして同町が発行元に抗議する事態にもなっているが、内容はさらに踏み込んだ格好だ。


 連載の掲載誌は「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)。主人公らと会話する冒頭場面の中で、井戸川氏が「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いる」として、被ばくを原因に挙げた。その後には「今の福島に住んではいけないと言いたい」と発言した。


 この場面には岐阜環境医学研究所の松井英介所長も同席し、「まだ医学界に異論はありますが、鼻血や強い疲労感などにその影響は十分考えられます」と語っている。さらに、福島大の荒木田岳准教授が除染作業の経験を基に「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと私は思います」と語る場面もある。


「美味しんぼ」の鼻血描写が議論を呼んだのは4月28日発売号。編集部は同月末、「鼻血や疲労感が放射線の影響によるものと断定する意図はありません」というコメントを同誌のホームページで発表。作中にも、福島の鼻血と放射線を関連づける医学的知見はないとする医師の言葉もあった。


 それでも波紋は広がり、双葉町は「原因不明の鼻血などの症状を訴える町民が大勢いるという事実はない。町民だけでなく、福島県民への差別を助長させる」として7日に小学館に対して抗議文を出した。9日には、石原伸晃環境相も風評被害への懸念を示している。


 同誌編集部はツイッターを通じて、19日発売号などで「読者の方々のご見解やご批判を含むご意見を集約した特集記事を掲載する予定」であることを1日に表明済み。雁屋氏はブログで、「反論は、最後の回まで、お待ち下さい」と呼びかけている。


 現在の「福島の真実」篇は12日発売号が「その23」で、24まで続く。雁屋氏はブログで「特にその24ではもっとはっきりしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂(原文ママ)するかも知れない」と予告。


 次号で「騒ぎ」がさらなる拡大を見せる可能性もある。