虚言や“なりすまし”など場外騒ぎも相次ぐ韓国の旅客船セウォル号の沈没事故で、今度は朴槿恵大統領(62)をめぐる“演出”疑惑が持ち上がった。

 朴氏は先月29日、ソウル郊外の合同焼香所を弔問し、カメラの前で遺族関係者らしき女性(73)と握手を交わし慰労。韓国メディアはこの対面を怪しんでいる。焼香所では遺族らが「最後まで現場にいるべきじゃないですか」と詰め寄るなど、朴大統領への批判の声が強かった。それでも、報道陣の前では朴大統領が女性の肩を抱いて慰めるところが公開された。だが、女性は取材に対し、「私は遺族関係者ではなく、一般弔問客です。朴大統領に『遺族ですか?』と声を掛けられ『違います』と答えました」と話してしまった。


 韓国のネットユーザーらは政府の“演出”疑惑を指摘。この慰労シーンは、焼香所が開く1時間前で、取材陣と遺族以外の出入りが制限されていたからだ。一部のメディアは先月30日、政府関係者の話として「大統領に近づくよう女性に依頼していた」と報じた。政府はヤラセ疑惑を否定している。


 韓国事情に精通する文筆人の但馬オサム氏は言う。


「朴大統領は、事故が起こってすぐに現地視察しましたが、結局は現場の混乱を招くだけでした。案の定、被害者家族らのいる体育館を訪問した際に罵声を浴びました。その後、対応の遅れなどに謝罪を表明しましたが、それがかえって一部遺族の怒りに火をつけ、焼香所に届けられた大統領の弔花が会場外に打ち捨てられるという前代未聞の事態を招いています」


 今回のヤラセ疑惑も、真偽は別として遺族らから「大統領のコマーシャルか」などの怒りの声を呼んだことは確かだ。


 朴氏の支持率は急落。「政権維持のために残された道は反日政策による大衆迎合ですが、逆効果になりかねません。事故発生当時、日本の救護支援を断ったのですから。同様の海難事故を死者ゼロで切り抜けた日本のありあけ号のケースを挙げ、日本を見習うべきという声も上がっているほどです」(但馬氏)。“得意の手法”も今回ばかりは通用しそうにない。